未知日記霊話集千六百八十九回  帰途案内記 NO109 山に登る者の心持ちは、山の神秘を味はひしものならでは測り知ること難し。一つの山に登りてすら斯くの如き体験を有す。まして人道の全きを踏み超えたる者にあらざれば、人間の幸福の程度は如何なるかを知ることは難し。人道をきはめて頂上に達し、更に転界して又もその階の大道につく其時の新らしき感想は、世人には到底測り知ることを得ざるなり セイキョウ貴尊講義

未知日記 第十巻 帰途案内記       
巻の二
転界の巻 
NO 109
セイキョウ貴尊 講述

                    
 即ち肉体の福徳は得らるるとも、心魂の福徳を求めんとなす人は少なし。心魂の福徳を得てはじめて肉体を満足せしむることは得れど、肉体の福徳によって心魂の安定を得る事は難し。されば心身共に福徳を得んとならば、先づ心魂にまかせて肉体を是に伴はしむれば、大道の歩みは安楽に進む事を得るなり。世人は高き山に上りし経験はあるならん。曲りくねりたる坂道を喘ぎ喘ぎよぢのぼりて、既に頂上近くなりたるかと眼を上ぐれば、遥かに高く頂上は見ゆる時、足を止めてその処に少時の憩ひをなして、その高き頂上に上り得るかとの思ひに胸をいたむることありしならん。然るに勇気をおこして喘ぎ喘ぎその頂上をきはめたる時の心持ちは、又新なる考へに胸を打たれて歓喜の声を放つならん。山に登る者の心持ちは、山の神秘を味はひしものならでは測り知ること難し。一つの山に登りてすら斯くの如き体験を有す。まして人道の全きを踏み超えたる者にあらざれば、人間の幸福の程度は如何なるかを知ることは難し。人道をきはめて頂上に達し、更に転界して又もその階の大道につく其時の新らしき感想は、世人には到底測り知ることを得ざるなり。又我等筆舌をきはめて語るとも、世人には到底理解する事の得られざるは是非もなきことにて、是は百聞は一見に不如の譬喩に洩れず、事実に接してはじめて知る。故に其迄は唯来世を楽みて歩みを続くべしと勧むるの他なし。
 世人は幼き頃小学校に入りたる時の考へと、中学に移りたる時の喜び、更に学業を重ねて大学に迄移りたる喜びを聯想し見よ。是即ち小中大の階を重ねて、転界したる喜びの姿なりしなり。人界に於て味はひし楽みは至って小さけれど、人間界より上界に移りし喜びには格段の相違あるなり。故に落階することなく昇階することに尽力せざるべからず。是等の譬喩は初心者への心得として語りをくなり。

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