未知日記霊話集 第千七十九回 光明論 下巻 巻の八 されば汝等楽を求めんとならば苦を求めて、是を征服することに努力せよ。然せば安楽の天国は自づと得られて赫々たる光明は輝かん。汝等は一時たりとも安からん事を望みて、楽の道を択ぶに依て苦みは絶えざるなり  テツシン貴尊講義


未知日記 第六巻 光明論       
下巻 光明論 巻の八 
教主講、テッシン貴尊解説
大悟篇  上
第一章 チッ の 門


               テッシン貴尊 講述


  或人賢明なる智者に向ひて人間と動物との異なる所は如何にとたづねしに、智者笑って曰く、人間の男女は交りを密かにして出産を公にす。是に反し犬猫の如き動物の雌雄は交りを公にして産は密かにす。人間と動物との異なる処は是なりと答たりとぞ。汝等この滑稽なる話を笑って聞き棄つること勿れ。智者の回答は実に真理をうがちたり。この明答によって全く人間畜生の区は明らかならしめたるなり。人間は愛慾に悶え、動物は色情に苦む。然るに人間、多くの人は動物に化せられて、ややもすれば愛を色情に変へて迷ふ者極めて多し。愛の為の愛情なるを性慾のための愛となれば本末は顛倒すべし。故に迷ふなり。迷ふが故にさとりは得難し。ここに心乱れて散乱し、煩悩の炎は延々と燃えて鎮火せずして、生涯火熱の内に悲鳴を上げて救ひを求む。其声や悲惨なり。故に何れの宗教者に於ても色慾に於て邪淫を戒めたり。されど愛の愛情を誡めたるにはあらず。
 汝等此門に入りたる時、第一に眼(まなこ)に映じたるは十二の光なりしならん。此色はすべてに和する色にして百四十四気光素の原色とも謂つべき色素なり。この色の背後を正しきか正しからざるによって人間性ともなり、又動物性ともなる。汝等の心の迷へるはこの波長が混合して放射しつつあるによって、乱れたるなり。乱れたる波長をもとに復せしむれば正しき波長となる。是即ち悟したるなり。さとりたるなり。
 旋律正しからざる音楽は耳を聾して騒然たるのみ。心を慰むることを得んや。父、十二、加へる母、十二、答、子の大愛とならざるべからず。然るを父の色情、加へる母の色情、答、子の大色情とならば放埓者の子となるべし。十二の光波、十二の気波によって、下方より上昇し来る様々のひらめき、是を光粒と仮称す。この光粒を清めて浄化し、更に是等を其々の光波気波に合流せしめて光の度を加ふるによって、光明の輝きはいよいよ増大してあまねく十方世界を照してあます所無らしむるなり。
 汝等此門に入りて左右上下に点々往来しつつある美はしものの流れを何と見るや。唯美はしきものとのみにて是を見のがすこと勿れ。是ぞ汝等が一日の行事なることに思ひをはせよ。一つの難局に直面して解決の道を明るくせば、その難局は浄化せられて一個の光明の肥料となるなり。されば人は多くの危路を歩みたる人間ならでは悟したりとも正しきさとりを得るは難し。何処何れの方面より困難なるわざわひ襲ひ来るとも是を克服すべき、余裕綽々たる修養修行をつみたるにあらずんば真の悟道を得たる人とは云ひ難からん。されば汝等楽を求めんとならば苦を求めて、是を征服することに努力せよ。然せば安楽の天国は自づと得られて赫々たる光明は輝かん。汝等は一時たりとも安からん事を望みて、楽の道を択ぶに依て苦みは絶えざるなり。火は摩擦によって生じて光明を放てど、発火せざる迄に静止すれば熱を伴ふのみにて輝きを見ずして終らん。汝等の修養修行も亦かくの如し。光明を見ずして終らば労して苦みを得たるのみ。楽土を踏む能はずして終らん。

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