第四回 面白い本を見つけた その本の名は「ありがとうの神様」 著者の名前は小林正観さん

「ありがとうの神様」より  小林正観

 私は30歳の時に結婚しました。子供を授かったのは、33才の時。ようやく授かった子供に「よろこび」を表す「慶」のつく名前を用意して待っていました。
生まれてきた子供は知的障害児でした。医師から「手術しても薬を飲んでもリハビリしても治りません」と宣言をされたあと、私の視力から色が奪われました。その医師を含む部屋中の風景がモノクロになっていたのです。白黒の世界です。
それからの半年間は視力がモノクロのため季節感もなくなり、花の色、緑の色、木の肌の色、人の顔色も全くわかりません。窓の外を眺めても晴れているのか、曇っているのか、雨なのか、見ただけでではわからないのです。当時の私は苦しみの中にいました。悩んでいました。なぜなら子供に障害があるという事実を受け入れることができなかったからです。
慶子が生まれて半年ほどたったある日、私が目にした新聞記事のひとつに、次のようなことが書いてありました。
「新生児の600人に一人は障害を持って生まれるということは、将来自分の子供が障害児として生まれてくる可能性がある。その時のための心構えを持っていた方が良い」
私はこの短いコラムを読み終えたあと、こう思いました。
「慶子ちやん、うちに生まれてきてよかったね。600人に一人、障害児として生まれてくるのであれば、慶子ちゃんはどこかの家を選んで生まれなければならなかった。その時に、小林家の両親を選んだというのはものすごく良い選択をしたと思う。私は障害ある子をいじめたりしないし、私の妻も優しいひとだから差別をしたりしない。慶子ちゃんはそうゆう両親を選んで生まれてきたんだね」
そう思った瞬間、失っていた視力の「色」が戻りました。風景に色が付いたのです。私自身が障害や障壁と思っていた大きな悩みは、「私の認識の問題」でした。「慶子ちやん、よかったね」と受け入れた瞬間にその問題は消滅したのです。
生まれてからわずか半年後に、慶子は私に大きなことを教えてくれました。「悩み、苦しみは、目の前の現象を否定し、受け入れないところから生じている」
私たちが目の前に起きている現象を受け入れれば、悩みも、苦しみも、存在しません。私自身が慶子に対して「この子はこれでいい。この子はこれで十分に幸せではないか」と受け入れた(感謝した)瞬間、私の悩みはなくなりました。
どんな悩みも消し去る「三秒」の方法があります。その方法とは、
一秒目・・・・・過去のすべてを受け入れる事
二秒目・・・・・現在のすべてを受け入れる事
三秒目・・・・・未来のすべてを受け入れる事
これで終わりです。自分に起きたことやこれから起きることは、すべて自分が成長するために必要だと思うこと。目の前の状況を受け入れれば(感謝できれば)悩みも苦しみもなくなって、ラクに生きることが出来るでしょう。

追記、
私の娘は知的障害があるため、自分の名前を漢字で書くことができません。足し算も引き算もできません。
私が久しぶりに家に帰ると「パパ~」と云って、ずっとくっついて離れません。お茶を飲み終わると、又ポットのところに行って、お茶を入れて持ってきます。半分くらい飲み終わるとすぐに足して一杯にしてくれます。
この子は人と比べると能力は低い。学力的な優秀さという点でいうと、価値がないことになってしまうかもしれません。
では、存在している価値がないかといえば、そんなことはない。この子がいると家の中がパーっと明るくなって、やさしくて幸せな空気が流れます。この子は能力とか能率の面では確かに他の子供に劣っています。でも、他の子供にはない「温かさ」を持った存在です。
全ての人には、それぞれの良さがある。だから比べられない。比べる必要はないのです。

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