宇宙からの訪問者 NO16  小説 僕の星「アリータ」のこと

 僕達の眠る時間もほんの僅かだ。二、三時間位かな。僕達の星では自然災害である地震、風害、水害などをすべて科学の力で解消しているんだ。もっと正確にいうとその膨大なエネルギーを人工的に制御して、小出しにして、生活や工業のエネルギーとして活用さえしている。又、飛行機や自動車などの交通災害で一人として死傷者などを出してはいない。君達の世界ではそれをフリーエネルギという言葉で使っている。
 この地球では固体燃料のような剣呑な燃焼物を使って、自動車から航空機に至る乗物を動かしている。僕達はそんな危険なものは一切使っていない。すべて電気だ。その電気もこの地球のものとはだいぶ違っている。君達の世界の電気を仮に陽電気と仮称すれば、僕達の星は陰電気を主体に使っている。地球の学者が今一歩努力すれば、その原理を認識出来て、この星の科学力を一気に押し上げることが可能だ。しかし現在の科学者がその力を手に入れたら、必ず不幸になることは眼に見えている。なぜならあんな原子爆破の小さな技術でさえも善用出来ずに、悪用することに腐心しているじゃないか。仮にこの陰電気を悪用したら、小さなトランク程の大きさの爆弾一つで、この地球を太古の原始世界に変えてしまうことは可能だ。原子や水素爆弾の比ではない程、その火力は強い。まずは為政者の人心の大改革こそが今は真の急務なんだろうね。それさえ出来たら、僕達も喜んで手を貸すことが出来ると思う。この陰電気を上手に使用することが出来たら、気象は勿論の事、地震などの天変地異もコントロールすることはいと易しいことだからだ。そうすることによって君達の科学文明は幾何級的に大きく進捗することだろう。つい先日も日本で水害があって、人命と多くの家屋が水没する事故があった。それを見て、僕はとても悲しい思いになる。早くこの地球も人智を向上させて、僕等の星のようになって欲しいと心の底から思っている。
 雄哉君、話が少し複雑になってきたみたいだね。僕の云うことが理解できるかい。少し眠そうな顔をしているみたいだ。では、君も少しは興味のあるお金の話をしてみょう。

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