宇宙からの訪問者 NO1  はじめに

  はじめに


 私、この半年余りの間に入退院を繰り返し、身体の調子が思はしくなかったため暫くブログを中断して居りました。少し回復したようなので、またブログに参入したいと思いましたので皆さまどうぞよろしくお願いいたします。未知日記の転記もまだ完遂しておりませんが、少し思うところがあり、寄り道をしますのであしからず。
昔、僕の親父が若いころに下手な小説などを書きどこかへ投稿したようです。そのことを思い出し、ならば我も一度挑戦してみようかと不届きな事を考えた次第。恥ずかしい話、私、現代小説の類は全然読んでおりません。よってその作法、構成の仕方などの知識は全くの皆無の状態です。人からみれば年寄りの冷や水と哄笑されるやも知れませんが、まずは自らの萎える心を鼓舞し、一歩踏み出してみたいと思います。

 今から書くその小説の主人公は高校二年生、十七歳の青年です。家族は祖母、父、母、それに青年の四人暮らしの設定です。未知日記の教え、挿話なども時々加味して進めて行きたいと思って居ます。小説の舞台は小生が住む福井県を想定しています。それも町からかなり離れた所にある小さな貧農の村です。
 私には孫二人がおりますが、その者たちに是非とも読んでもらえたらと考えております。その大きな理由はこの「宇宙からの訪問者」を読む事によって、将来、「未知日記」の書と触れることの機縁になってもらいたいからにほかなりません。その他には一切の他意はありません。一日々々、日々押し寄せてくる身体の不調、それに抗い恐懼しながら、何とか毎日を生きております。さて、どこまで続くかわかりませんが己の無能をも顧みず敢えて挑戦してみたいと思っています。


  小説  宇宙からの訪問者  第一回  僕の家族


  僕は福井県の北端に位置している勝山市の北谷という山奥の村に住んで居る。名前は河村雄哉、高校二年生、今年十七歳になる。この北谷は北陸地方の中でも有数の豪雪地帯だ。
平年でも三回から四回、豪雪の年などはゆうにその倍の屋根雪下ろしを行う。なんと一晩で屋根に積もる雪の量は七十センチを超える。二晩も続いたら屋根雪を下す必要がでてくる。男衆がいない家では、女でも子供でも屋根に上がる。雪は大粒で前が見えない程に、一週間も十日も止むことなく静々と降り続ける。単に屋根雪を落とすだけじゃなく、次に降る雪の落とし場を確保する為に排雪もする。もうその時は男も女も身体はくたくたに困憊し、その疲れは極に達する。世の中で怖いもののなかに地震、雷、火事、親父と列挙する比喩があるけれど、僕は親父の替わりにこの豪雪をあげたい。毎年この屋根雪下ろしで誤って転落し、打ち所が悪ければ死に至ったり、大怪我をする。そんな報道を毎冬の如くテレビで報道されている。神代の時代から屋根雪下ろしの道具は殆ど進歩して居ない。漸く昭和に入り、ばんば(薄い板で出来た屋根雪おろしのための道具)からスノッパ-に替わったぐらいだ。最近になって屋根に融雪装置を付けるところがでて来た。もし東京や大阪に雪がこれほど降るものなら、国も企業もこぞって雪の克雪に全力を挙げ、新たな克雪方法を考案するのだろうが。豪雪の時は玄関は雪で閉ざされ出入りは不可能になり、やむえず二階の窓から人は出入りする。村の大方の家々はみなそうなってしまう。今年は未だ十二月に入っていないけれど、昨日から僕の村でも除雪車が早朝から稼働している。天気予報では今年はラニーニヤ現象とかでなんだかとても大雪になりそうだ。
 以前、雪の脅威というテーマで僕は雑誌か新聞でコラム記事を読んだことがあった。あの綿の様に軽い雪も、積れば圧雪されて、畳一畳に大柄な相撲取りが二人座っている勘定になるそうだ。であれば、仮に五十坪の大屋根では、畳は百畳、すると二百人の力士がどっかと屋根に居座っていることになる。雪の苦労のない人でも、この譬えで雪の重さをすんなりと実感していただけるのではないか。ある年の豪雪の時、町で家が一軒押しつぶされた。それも比較的頑丈に出来上がっている家だった。話によれば、隣近所の人はまるで大きな雷がすぐそばで落ちたような爆音だったそうだ。高さ五メ-トルの木造家屋がわづか一メートルに圧縮されて、ペチヤンコに押しつぶされてしまうのだから怖い。あとから聞いた話に依れば、屋根雪は全部一斉に下ろさずに片側の屋根の分だけを残して、人夫はそのままにして帰宅してしまった。その為に雪の重圧は傾き、あとの片側全部を押しつぶしたそうだ。それを見て、町の人達も段々と早め早めに屋根雪を下すようになった。運がいい事にその家の人達は全員その日は外出して居て災難を免れたそうだ。 
 春、夏、秋それぞれ景観の素晴らしさに心惹かされて、この地に別荘を持った人なども、その雪の脅威を間近に見て必ずと言っていいほど逃げ出してしまう。「夏はいいとこなんだけれど、冬はなあー」と言い残して・・・・・・・ 

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