こだま会講演日記    第六十五回   坂本通博 筆記

十一月十七日
円海大師講義
尺度計の
一分、二分、三分・・・之を一分計・・・・・百分までと、
五分、一寸、一寸五分、二寸・・・・之を五分計とす。
いっすん、二寸、三寸之・・・・・之を寸計とす。
今日は五分計の話、つまり十干。
之は木火土金水のエト即表裏。このうち一番はじめは木ノエ、次木ノト、火ノエ
、火ノト、土ノエ、土ノト、金ノエ、金ノト、水ノエ、水ノト。之を字に書くと甲乙丙丁
戊己庚辛壬癸。
甲 コウ きのえ 木の兄
乙 オツ きのと 木の弟
丙 ヘイ ひのえ 火の兄
丁 テイ ひのと 火の弟
戊 ボ つちのえ 土の兄
己 キ つちのと 土の弟
庚 コウ かのえ 金の兄
辛 シン かのと 金の弟
壬 ジン みずのえ 水の兄
癸  みずのと 水の弟


木火土金水(き、ひ、つち、かね、みず)これ等は物品の形あるものをなぞらへて言って居る丈でそんな範囲のせまいものではない。水性だから冷たい、火性だから情熱的だと言ふ等も含めて諸種の事柄を知らせるもの。      
音楽では宮商角微羽。
キノエ(甲)   木と言ふは樹木にあらず、範囲広し。
之はものごとのおこり、なりたち。起源の起に当たる。
気、精神も木。物を始めようとして考案するも木。
気の強い人は木ノエ、気の弱い人は木ノト。元気な人は木ノエ。元気のない人は木ノト。自然から来る気、自分からおこす気を指したもの。
人間がはじめて母胎に宿る、之木ノエ。
生まれたら木ノトなって生まれる。
子供が生まれた、之木ノト。それから盛んに育って心も整って行くは火ノエ。
一日一日人間の気は同じでない。今日は木ノエで何か考へをおこして居ても明日は何になるかわからない。之が順序良く行けばよいが有為転変でそうは行かない。だから面白い。


* 多くの会員の中で唯一人、この坂本通博さんだけが五年間に亘ってこだま会に出席され、円海大師と泰岳大師の仰った言葉を筆記された。おかげで今、私たちも是を読むことが出来る。当時録音機があったならより詳細にそれを見る事ができたろうにと思うと、少し残念な気もする。いまgoogleで坂本さんを検索しても何も出て来ない。でも何年か前には坂本道博と検索すると、どこかの大学の音楽の先生として出てきたように覚えている。どなたか彼の事を知っている人は教えて欲しい。いずれにしても貴重な書物を残されたものだ。感心する。

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