未知日記　第十巻　帰途案内記　　　　　　　
巻の四
最終の巻　
二流界、仮称霊空界　　　　　
セイキョウ貴尊　講述　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

　例へばアメリカを中心として一界を安からしむるに至らばその界はアメリカとなる。ロシアに於ても亦同様なるべし。然する事によって果して一界は治まるか。然らざるべし。即ち中心はアメリカとなり、或はロシアとなる時は、その中心たる所に住む人類は高く評価せられて高慢となる結果、又もや争闘を惹き起す憂ひあらん。自己より他を考ふればかくの如くなる結果を誘発す。故にその自然は一方的となるなり。然りとせば是を如何に考ふれば可ならんかに考慮を廻らし見よ。然して其より其へと追求し行くならば、軈ては正しき原理を発見することを得ん。然して二流界の様を想像し見ば如何　!
　例へば世人は大悟して二流界の人類に交はりを結ぶと仮定し見よ。彼は通力自在なるが故に直ちに来りて、汝と親睦を厚ぅする力を以て汝を導き呉るるならん。世人は門戸を開らかず障壁を作りて他の侵入を許さざるが故に来るものも来らず、見るべきものも見えず、聞くべきものも聞くことを得ず。故に井中の蛙となりて大海の広きを知らず。所謂宝を箱の中に入れて倉庫に納め居ると同様の姿となり居るなり。宝も宝としてのはたらきをなさしめずば宝としての任務をなすこと難し。二流界の人種の如く解放的の人間となるにあらざれば、人間としての本分は尽されざる事に心せよ。汝に与へられたる魂は汝の宝なるべし。その宝を肉体と云ふ小さき箱の中に納めて奧深く蔵し居りては、魂の価値を知ることあたはざらん。はたらかんとする魂は自由を得んとて肉体の中にありて、悶え苦み居るにてはあらざるか。早く是に自由を与へよ。其には何か方法なかるべからず。其方法を知るものは霊を措いて他にはなかるべし。霊は身心魂に交はりてはたらきをなし居ることは、既に世人も諒解なし居るならん。汝の魂は閉ぢこめられて己の任務を果すことを得ずして、苦み居る事を霊はよく知る。世人は魂を閉ぢこむる事をなし居るもこれ霊の力なり。されど汝は霊を閉ぢこむる力なし。自由と云ふは即ち霊なり。霊は絶対なるが故に一方に偏せず。上下左右自在にはたらきをなす。魂(こん)と云ひ魄と云ふもすべては相対なるによって、一方的なれば閉ぢこめられて悶え苦むなり。霊は真の自由なるが故に、唯其に応じてはたらきをなし居るにすぎず。右せんとせば右となり、左せんとすれば左となる。是ぞ即ち絶対自然の道理なるが故なり。己より求めて是を曲ぐることをなさざるは大自然の力なり。大自然はかくも自在のはたらきを有す。この理より世人の考ふる自由と我等が語る自由との相違を考へて悟るべし。