未知日記　第十巻　帰途案内記　　　　　　　
巻の一
大序の巻　
NO １８
セイキョウ貴尊　講述
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　健全なる魂を健全なる肉体に宿らしめて、更にその子孫を作らば健全なる人間は組織出現せらるる道理を認識せば、敢て空しきいたづらごとにはあらざるべし。或僧云ふ、「釈迦と云ふ悪戯者が世に出でて、多くの人を迷はせにけり」とものしたるにてはあらざるか。釈迦は如何なる者の魂換せられたるやを世人は知ること難かるべし。釈迦も魂換せられて出現したるものにて、是が人間の上位に置かれたるは何の為かを深く考慮し見るべし。イエスに於ても亦然り。この外他の聖者と云はれるものすべて魂換によって栽培せられたるに他ならず。行者の優れたるものもみな魂換によって現はれたるものなれど、その大抵は更に天界に於て又も選抜せられ、或は下界に或は上界にと、其々二度三度命令をうけて出現なすことも少なからずあるなり。是等の道理より更に日本の天皇制の事柄を考へ見ば何か、又新らしき考へを生ずることはあらざるかと思ふが如何 !
　其は別としてここに一言注意しをくことあり。そは他ならず。現在慈音は修行中なるを以て、我、直接彼に到りて講ずることもあり又或場合ミキョウをして代講せしむる事もあることによって文意の姿が変ること多し。ここに注意せられんことを。此事に関しては後にその理由を語るべけれど今は我とミキョウの合作の如くなるによって其事のみ注意しおくなり。よって諒せよ。さりながらたとひ文意は異なるとも責は我に帰することは云ふ迄もなし。
　さて人一度命尽くれば其人の運命に従ひてみな其々異なる位置に運ばるると雖も、その悉くが一度は浮住界如意界更に選魂の場所を通過するにあらざれば、一定の処に到ることは許されざるなり。斯く語らば先にミキョウが語りたる浮住界に永住すると云へる言葉は嘘説なるかと疑問するならん。されど浮住界にありては限度の定めあるにあらず。されば空なる魂は上昇することを得ずして長くここに止まるもの数限りなくあるなり。よって先に語りし永住説は無根の事にあらずと知るべし。所謂浮住界迄到りてその後進むことを知らず、唯さ迷ひ居るにすぎざるなり。されどその中より一度さむれば如意界に移り、更に選魂の場所に到りて一定の処に移さるることも数限りなくあるなり。又是等を救はんとして浮住界を担当するミキョウ以下のものも配置され居ることは云ふ迄もなし。是等のものなくんば無限の苦みより度脱することを得ざるが故に、神は憐みの手を浮住界に迄差し延べ給ふことに感謝せざるべからず。