未知日記霊話集 第千七十七回 光明論 下巻 巻の八 変化妖怪は汝等ならずや。女菩薩の姿を装ひ男子の生血を吸ふ吸血鬼は眼のあたりにはあらざるか。聖人を装ひて大衆の生血、否生命をも奪ふ悪鬼羅刹はあらざるか。妖怪変化の術は悪魔に学ぶにも及ぶまじ。妖怪変化は人間にありと他の動物より謗らるるとも、返へす言葉もなく赤面のほかなかるべし テツシン貴尊講義

未知日記 第六巻 光明論       
下巻 光明論 巻の八 
教主講、テッシン貴尊解説
大悟篇  上


               テッシン貴尊 講述
               

 例話にも聞きたる如く師の坊は徒弟を悟せしめんとして苦心するさま、実に感謝の他なかるべし。重装とは汝等は仮装と思ふならん。もとより仮装なり。されど此仮装は汝等の思ひとはやや其趣きを異にす。汝等の仮装とは唯肉体の変装を指すならん。行者の変装は身心共に変ぜしむるによりて是を重装と命名したるなり。汝等日々の社交状態に於ては常に心の変装をなし居るを我等は知れり。汝等は悪魔は何々に変ずると聞きて審むこと勿れ。汝等はその法をとくより弁へ居りて日々行ひ居るにてはあらざるか。変化妖怪は汝等ならずや。女菩薩の姿を装ひ男子の生血を吸ふ吸血鬼は眼のあたりにはあらざるか。聖人を装ひて大衆の生血、否生命をも奪ふ悪鬼羅刹はあらざるか。妖怪変化の術は悪魔に学ぶにも及ぶまじ。妖怪変化は人間にありと他の動物より謗らるるとも、返へす言葉もなく赤面のほかなかるべし。
 二人の徒弟のうち、一人は彼女の正体を看破せんと杖をふり上げしに対して、今一人は是を止めて女をさとせり。汝等は他より欺るる時、直ちに怒りて果は喧嘩の如くに論じて交りを断つこと多かるべし。是杖を振り上ぐるに等しきなり。然るに一方の徒弟の如くその偽はりを知りて怒らず、理を説きて是をさとすは智慧なり。仁なり。焉んぞ是に加ふる剣あらんや。女は仮面を脱ぐの他なかるべし。遂に女は正体を現はしたり。其こそは妖怪にあらずして師の坊なりし。智慧には格段の相違あり。力量にも亦然り。欺んと謀りて却て欺るるは汝等の世界なり。我智慧優れたりと思ふとも上には上のあるものぞかし。悟りしと思ふさとりは真のさとりににあらざりしことも教へられたるなり。
 師の坊は曰ひたり、「汝は我なりしことを知りしか」と。彼は「知らざりし」と答へしは偽りにあらず。若し彼にして偽りて知りしと答へなば痛棒は彼の頭に下りしならん。勇気は暴力を伴ひ、仁は情(なさけ)に化す。師の坊の重装と雖も情の力には仮面を脱ぐ他道はなかりしならん。汝等学すべきは此処にあらん。仁を施して世に処しなば如何なる天魔鬼神たりとも是に対して剣をむくる事能はざるべし。さりながら悪魔の敵は仁者なり。されば仁には悪魔も如何ともなし難し。仁は所謂大愛にして善悪ともに憎まず。悉く愛に抱かるべし。汝の心には悪魔の宿れるを汝知らずや。汝の胸には怖しき鬼のひそめるを汝知らずや。汝の頭には神の影あるを知らずや。覚醒めよ。汝等早く早くと神の御声は汝の耳に聞えざるか。我汝等に語らんと欲する大悟の門は、今より開かんと既に八個の鍵を教主より授かり来りぬ。

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