第二十六回 「正観さんの最後の著書 淡々と生きる」より 「手塚治虫とお母さんその2」 小林正観 著作

正観さんの話の続き・・・・・


 子育てに対して親が本当の愛情で臨みさえすれば、天才を本当の天才に育ててやることができます。しかし親が自分の思いを押し付ければ押し付ける程、天才はどんどん芽をむしり取られる。むしり取られて、丸裸になる。
母親が子育てという名の下で苦労しているのはなぜか。なぜ楽しいはずの子育てをダメにしてしまうのか。それは、子供を自分の思い通りにしょうとするからです。
 子育てとは、実は難しくない。子供が伸びていきたい方向に伸ばしてやればいい。逆にいえば、伸びたい方向に伸びていくのを邪魔しないこと、親の思いを押し付けないこと。桜を咲かせる木に、いくら「桃の花を咲かせなさい」と言ってもダメ。桃の花を咲かせようと生まれてきた木は、桃です。牡丹に向かって「シヤクヤクを咲かせろ」と言っても無理。牡丹を咲かせようと思って生まれてきた木は、牡丹です。しかし、そういう親が結構多いのです。木を枯らさないように水をやる。陽に当てる、カンカン照りを避けてやる、冬は部屋の中に取り込む、命を守ってあげる。それが親の最大の仕事です。子供がどこを目指そうと
、どの方角に進もうと、親がゴチャゴチャ言わないことです。
 バラを挿し木して、その挿し木に向かって、「愛してるよ」とずっといっていると、三代目にトゲのないバラができるという話があります。ではバラよりも高度な機能を持っている人間に向かって、「愛してるよ」といつたらどうなるか。イライラしている子供、他人に対してすごく攻撃的な子供に、欠点を指摘するのではなく、「愛してるよ」と言い続けていたら、その子供は革命的に変わるかもしれません。
 すべての子供は、100パーセント天才で生まれてきます。現実は、その芽を親が摘み取っている。今、親である人達も自分の天才の芽を、自分の親によって摘み取られた可能性がある。だからと言って、恨んではいけない。恨んではダメ。親を怨むと、自分に返ってきます
 そこに気が付けば、自分の子供には、その天才の芽を摘み取らないようにしてやることができるはずです。  

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