第八回 面白い本を見つけた  その本の名は「もうひとつの幸せ論」 著者の名前は小林正観さん

「えっ、私なんか無理ですよ・・・・・・」と断らずに「頼まれごと」をすると、ラッキ-の神様がやつてくる       小林正観



「車椅子の書家」、伊藤進さんとはじめてお会いしたのは、今から10年ほど前の事でしたた。彼は二十歳の時に首の骨を折り、それ以降、車椅子の生活を余儀なくされていました。ほうたいで、かすかに動く右手に筆をくくりつけ、「リハビリのために、正観さんの言葉を書き写している」というのです。
私は彼にこう言いました。
「一年で、1000枚書きなさい。それも私の言葉じゃなく、モンテスキューやルソーといつた、様々な人の言葉を書きなさい。かいているうちに、「その書を売ってくれないか」という人があらわれるから」
彼は私の言うことを聞き、一年で一〇〇〇枚の書を書きました。一〇〇〇枚と聞いても彼は
「えっ、そんなにたくさん書くの?」とは言わず、「はい、わかりました」と、一年で一〇〇〇枚の書を書き続けました。
書道をやっていることが少しずつ知れ渡るようになると、「共同で個展をやりませんか」と誘われるようになり、「個展」を開くようになり、NHKが取材に来るようになり、「今がすべて」という本を講談社から作品集を出版するようになり、彼は世にでていったのです。
ちなみに私は「いまがすべて」の本の帯に、「この本はつらい状況や悲しい状況を背負っている人に、沢山の勇気を与えてくれることでしょう」というコメントを寄せています。
「私なんか・・・」と断ると、ラッキ-の神様が逃げてゆく。
先日、講演会が終わったあとに、「この本に私の名前をかいてください」と声をかけてきた主婦がいます。その方はとてもキレイな字を書く方だったので、私はサインしながら「書道でもやったらどうですか?」と問いかけました。彼女の返事は、こう。
「ええっ、私なんか・・・、無理ですよ・・・」
私は彼女に、伊藤進さんの話をしました。そして「エッ、私なんか・・・と言っていると、ものすごく近づいているラッキ-の神様が逃げてしまうかもしれないから、「わかりました」と言ってやってみてください。そして二か月後までに100枚書いて持ってきてみてください。
100枚書いてもってきたらきっと「1000円で売って欲しい」という方が現れるので、その時は1000円で売ってみてくださいと続けたのです。

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