宇宙からの訪問者 NO35  小説   最終章

「雄、お前は絶対に大学に行かなきゃ駄目だ。お前に俺の味わった苦しみを、もう二度と味あわせたくない。大学にかかる金の事は何とかする。これは親としての、最低限の義務の履行だ。どうか頼む、俺を悲しまさせないでくれ。
 そう云いながら、父は僕の手を両手で握りしめた。そばで母もばあちゃんも一緒に涙を流していた。
  父も母も教育こそ受けてこなかったけれど、僕はこの両親を持ったことを心から誇りに思っている。学問や知性があるとか、お金があるとか、又社会的地位があるとか、そんな表層的な物すべて拭い去って、後に残る根源的なもの。それが絶対的な人間の評価、価値なのだと思っている。
 不思議なことに、その講演会の後に、学校で何人かの生徒が僕と同様の能力に目覚めたものが出たことを、ここに報告しておかなければならない。その内の一人は壊れて動かない腕時計を念の力で見事に蘇生させた。この力があれば、外科医がメスをもって患部を切り取る必要はなく、その者の持つ念動力で病気を治すことも可能になる。そして、あるものは本を速読する業を身につけた。例えば、ある一冊の本をパラパラとめくりながら、その書かれている内容を認識し、一字一句間違えずにそれを転記することが出来た。
 以上がこの二か月の間に、僕の身近で起こったすべてだ。それを忘れぬように微細な点に至る迄ここに書きとどめた。誇張したところは一切なく、ありのままを記した。僕が書いたことが虚構か、はたまた真実を述べているかの判断は、読者諸兄にすべてを委ねたいと思う。いずれ、宇宙人であるコーシン.リョウジャから預かった手紙を公にするつもりだ。それを読む事によって多くの人達の人生観、その生き方を大きく一変させて行くことだろう。


       小説「宇宙からの訪問者」 完


追記
 尚、厳戒の辞の詳細をより深くお知りたい方はgoogleで「厳戒の辞」と検索すれば出てまいりますので御参照ください。これは未知日記という書籍十一巻に書かれている天使の言葉の中から厳戒の辞の大事を書かれている所だけを別途編集し、編纂したものです。天使の方々のお名前は教主寛大、テツシン貴尊、セイキョウ貴尊、それにミキョウ貴尊が述べられたものです。読者諸兄の中で、もしこの拙文、「宇宙からの訪問者」に興味を覚えた方がいらっしゃいましたら、どうぞ本編の「未知日記」一巻からゆっくりとお読みください。すれば必ずやあなたの人生の根幹から変えてしまう力をこの書は孕んでいることを知る事でしょう。



                                                 村上雄治より

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