宇宙からの訪問者 NO22  小説 二流界の世界の葬儀とは

 赤子は二流界では男女の肉体の交わりではなく、男性の持つ陽霊と女性の持つ陰霊がこの空海に人類を現出させる不思議な場所だ。霊気の交わりで人類が作られる。こんな話はこの地球界では誰も信用しないだろうな。でもこれは真実の話だ。子供の間は裸体でいるけど、
成人後は其々男界、女界に移され、職衣をまとう。その職衣は生涯替わることなく死ぬまで纏い続ける。その服装をみればその人の個性、職業が一瞥して解るようになっているらしい。その衣は僕達が纏っているいるような粗雑なものではなく、もっともっと精緻を極めた衣なんだろうな。だって二流界だもの。
 では先ほど途中まで話した二流界の葬儀の様を詳しく話しておこう。これは長老の言葉そのままを君に伝えてゆこう。
「その神々しさと美観とには誰もが一驚を喫してしまう。麗しき一体の抜殻が運ばれ来りて、大なる光の池に投ぜらるる様の微妙なる音響と香しき匂いと美わしき光が八方に千々に輝きわたり、全界の人類が感謝の真実(まこと)を捧げるのだ。そしてその霊気の世界中に充ちわたる有様など、これは到底筆舌に表すことは不可能だ」と仰っていた。
 これが二流界に住む人類の葬儀なのだ。なんとも不思議で莊厳な光景だね。君達の星の聖書に書かれているゴッド、或いは仏典の阿弥陀呼ばれている神仏達が、この二流界の人種なのだと僕は思う。この二流界の人類は遥か遠い昔から、この地球の救済あたっているだけでなく、この宇宙が滞りなく変化生成してゆく為の備えにあたっておられるのだ。雄哉君の思っている天使のイメージと僕が話す天使の実像とに乖離はないかい。同様、神に対する観念も違っていないかい。
 宇宙の構造はこの二流界の上に一流界があり、更に無言詞界が幾階層もあって、尚その上に大霊界が十数段階あって、漸く神の住まう神界があるそうだ。聞いているだけでも、この宇宙は複雑多端な構造に出来上がっていることが解るだろう。人智が進めば進むほど、神に対する概念はなお深く、そして広く、更により敬虔になって行くものだ。当然、僕も君も神の姿を拝することは出来ない。でもこの二流界の人類は神の姿を真実拝することが出来るそうだ。僕の星の長老が二流界の天使の方に聞いた話に依れば、「神ほど穏和で暖かく感じられるものはない。一度神の言葉、その威厳に触るれば、その感激は終生忘れることはない」とのことだつた。しかしこの二流界の人類ですら神に直接触れることはできないそうだ。

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