宇宙からの訪問者 NO19  小説  地球の未来

 僕の星には君達の世界にはいない不思議な動物がいる。その動物の名前はクゥワオという。はっきり言って君達人類よりずっと知能は高い。複雑な機械を作ったり、機械の操縦はお手のものだ。計算や文章を書いたりするのも簡単にやってのける。言語も多国籍の言葉を話すし、空を飛ぶ翼も持っている。又、水中もイルカのような速さで巧みに泳ぐ。若しこの動物が君の世界に行ったなら、間違いなく神として崇められて崇拝されるに違いない。それ程の動物だ。しかし彼等は僕の星の子供達に使役されているんだ。彼等は動物としての生を早く終えて、来世には人間としてこの地上に生を享けることを強く希っている。それは何故か。それは僕達人類には魂魄両性を授けられているけど、このクゥワオは魂(こん)のみ有している為、いま以上の魂(たましい)の進化発展がままならないからなんだ。
 君達の世界で恐れられている猛獣といわれる動物達も僕等の世界に沢山いるよ。でも彼等は今は温獣にすべて化せられて、やすらかな生活をしている。ライオンの傍で羊やシマウマが安心して草を食んでいるんだ。
 決して彼等は争ったりしない。そして人間たちも動物を殺めてその肉を食したりしない。それを知っているものだから、彼等も安心して人間に懐いてくる。ライオンが人間の前で頭を垂れて気持ち良くさすってもらうのだからな。そんな光景を、君達の世界の者が実際見ることができたなら、「これが本当の極楽世界だ」なんて言うかもしれないね。そういえば、君達の旧約聖書の中に、ライオンと羊が仲良く寝そべっている天国絵図なるものがあった。あれはまさしく当時の預言者の心の中に、一瞬焼き付いた地球の未来の光景、いや、僕達の世界をある刹那、垣間見た一シーンなのかもしれない。でも君達も時間を重ね行けば、この星も僕達の星のような姿を現出させる時がきっとやってくる。地球の現状は各地で紛争が勃発したり、おまけに天変地変なども起こり、多くの人がなくなっている。もう暫くの辛抱だ。ある時期を契機にこの地球は必ず変わる時が来る。今は産みの苦しみだ。丁度、いまの地球は光と闇の道が両道に分枝して進んでいる状態にある。言葉を換えれば、人間性と動物性の二道を歩んでいるんだ。いつの日かこの二道が一道に収斂される時がくる。それまでに大小の艱難、悲劇が少なからず待ち受けているかもしれない。でも雄哉君、悲観しなくていい。僕達も力を尽くして見守っている。君達の未来の地球は明るいのだから。僕等はそのことを伝えたくてこの星に度々近づいているんだ。決して侵略するとか、人類の滅亡を謀るために接近しているわけじゃない。逆に守護監視の役割を果たしているんだ。

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