宇宙からの訪問者 NO18  小説 僕達の星の動物達の生態

 地球人種の大方は、明日のパンを得るために労働に勤しんでいる。おそらく全部が全部愉快な仕事ではなさそうだ。その点、僕等には生活苦というものがない。だから各個人はそれぞれ芸術の創作に励んだり、己の魂の発見、そしてその錬成の為の時間を積極的に確保している。その結果、科学上の発明、発見などが盛んに行われ、全界の人類の至福の為に貢献している。僕の世界も君達同様、北半球と南半球に分かれている。もし北で不足するものがあればそれを喜んで無償で提供し、逆に南で足りないものがあれば、北は直ぐにそれを補ってくれる。そして有益な発明発見があれば、その日の内に全界の人々に通達される。地球人の様に特許権を占有したり、特許料を要求したりはしない。ある物を研究していて、どうしても克服できない壁にぶつかった場合、僕達より進んだ星から技術や精製の方法などを事細かく教授してくれるのもとてもありがたいことだ。君達の国では政治家である大臣や富豪の人は一般人よりも豊かな生活を享受している。でも僕達の星での生活には貧富の差がないことは前にも話した通り、大臣の生活も農夫の生活も全く同じだ。
  僕の星にも地球と同様、いろんな動物が生息している。その中には猿のような動物もいる。彼等は僕達の言葉を的確に理解し、また言語も流暢に操り、語彙もとても豊富だ。簡単な機械の操縦や組み立てを行い、工場で決まった時間働いている。君達が今使っている携帯電話なども、僕達の指導のもと彼等は自分で組み立てて、仲間同士で連絡し合っているんだから。現在、地球で流行っているインターネットなども彼等なりに楽しく使っているよ。また彼等には彼等なりのフアッションがあってとても上手に着こなしている。どちらかと云えば、イタリアンカラーのようなビビット系の色合いを好んでいるようだ。犬やイルカなどもこの猿達同様、この地球の者たちよりも大きく進化している。君がみたら えっ、これが犬なのって、これが猿なのって、その働きを見たらきっと君は驚くだろうな。
 人間の進化は急速に進むけれど、動物達もその恩恵を受けて、緩やかながら進化の一途を辿る。昔、この地球で「猿の惑星」という映画が作られたことがあったが、あんな擬人化された醜悪な顔では決してない。丁度、君達の祖先の原始人の容姿が、現在の地球人の様に段々と美しくなってきたように、その猿達も見違える程、変貌を遂げていることを付言しておこう。軈て、この動物達も幾段階の階梯を経て、いつの日にか、どこかの惑星で人間として生まれてくるんだろうな。神様はなにも人間たちだけに注視の眼を注いでいるだけでなく、全ての生きとし生けるもの全てを引上げられようとしているんだ。神様の心を忖度するなら神はすべての惑星に住む生物を一流界の世界にまで仕立て上げることがきっとお望みなのだと想うけどね。
 彼等は自分達が動物として、生を享けていることをとても悲しんでいる。なぜなら動物には僕達人間の様に初めから完全に備わっている魂(たましい)なるものが不完全に組織されているからだ。 人間性と動物性の違いはこれだ。それがために人間の進歩発展に比して、あまりにも彼等のそれは遅鈍すぎるのだ。それがわかれば、雄哉君もこれからは彼等を慈愛の眼で遇してやることも大事だよ。

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