宇宙からの訪問者 NO17  小説 僕達の星の夫婦の関係

 地球に於いて、世界の人類は、「人間の幸福は男女の享楽にあり」などと公言して憚らないところがあるけれど、そこのところは僕達と大分相違があるみたいだ。僕達の星では離婚する人も再婚する人もいない。この地球では夫婦の性格の不一致とか、相手の浮気とか、色々の理由をつけて離婚しているみたいだけど、僕達の世界では夫婦は二度の縁を結ぶことはない。例え夫婦のどちらかが亡くなった場合でも、それはあり得ない。なぜなら、亡くなっても普段と同様の会話を魂を介して行っているからだ。仮に妻が夫を置いて先に亡くなったとしよう。夫は悲しまないね。まるで妻がそこにいるように、いや、事実そこにいるんだ。その妻と日常の会話をしているよ。「今日はこれこれのことがあった。君ならどうするかな」そんな感じで会話をしているんだ。それはその夫だけに見えるのではなく、第三者にも同じように見えて聞こえる。だから、君達の様に人の死を悲しむことはない。この世界の様に、お寺や、坊様も墓すらない。これが永遠の夫婦愛なんじゃないかな。ここで勘違いするといけないのは、僕が言う霊と君が思う幽霊とは天地の隔たりがある。幽霊は魂から派生する念の滓みたいなもので、これは幽霊と呼ばずに正確には幽念と呼ぶ方が正しい。君達が思う幽霊は自分が幽霊となって、毎夜出ていることさえ知らないのだから。実際は夜だけじゃなく、日中でも出ているんだよ。
 ついでに僕の着ている衣服の事も説明しよう。君達の着ている服は汚れるから毎日着替えをしなければいけないね。そして破れることもあって、生涯の間には幾つも幾つも、数多く取り揃える必要がある。それに対して、僕の着ている服は決して汚れないし、破れることもない。この服のお陰で空も自由に高速で飛行することも出来る不思議な道具なんだ。温度調節も自由自在だ。ほら、昔のアメリカ映画でスーパーマンってSF映画でクラーク.ケントなる異星人は僕達の人類にとてもよく似ている。地球人類の大方は、明日のパンを得る為に労働に励んでいる。おそらく全部が全部愉快な仕事ではなさそうだ。その点、僕等には生活苦というものがない。だから各個人は芸術の為に勤しんだり、科学上の新しい有益な発明、発見を行い、全界の人類の至福の為に働いている。

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