未知日記　　　第十一巻　　　絶対界　　　　テツシン貴尊講義2021..03.04

　即ち富者は学者の智慧をかりて利慾を恣にするとならば、何れが愚者か賢者に属するかを知るの由なからん。其は兎に角賢愚と云ふは智慧の尺度なるべし。然りとせば賢愚は智慧の程度を計る尺度に他ならず。用法の如何に依っては種々様々の変化あるのみにして或は賢となり、或は愚となる関係も含まれあるならん。故に霊を智慧の源とし智慧より出づる賢愚を心として考ふる時、智慧は魂魄に匹敵し賢愚は心意に合ふと云ふ関係もあるならん。斯く考へ来る時、霊は智慧の母にして魂魄となり、魂魄は賢愚の母と見なして考ふるならば、すべては解決するならん。
　迷ひと云ふは智慧の定まらざるが故なり。智慧定まらば迷ふものにあらず。迷はざれば即ち信と化せられるならん。所謂迷はざる底の信を定むるには、智慧の程度を拡大強化するにあらざれば得らるるものにあらず。智慧定まりて信となる。是を宗教者は不動智と称へ居るなり。動ぜざる底の智慧に化せられずば大自然の姿とはならざるなり。即ち不動智に化せられて始めて絶対の位置に到達す。此不動智を得る迄は迷ひ迷はさるるが故に、智慧は動揺し乱れがちとなりおれど、其は一種の摩擦にすぎず。定まれるところを目標としてその目標の地点迄到達するには紆余曲折あるによって摩擦を生じ、その摩擦によって智慧は磨かれて赫々光を放ち、軈てはその目標の地点に到達して明らかに十方世界を照す智慧となるなり。霊と智慧、智慧と賢愚、即ち霊魂心の関係なるが故に、賢愚は智慧によって化せられ、智慧は霊に化せられてここに始めて不滅の境涯に入る。是を名づけて神智と云ふなり。神智ならずば絶対とは云はれざるなり。神智の光明は赫々として十方世界を照す。いささか宗教くさき言葉にて、諸子は我等を宗教者と考ふるならん。されど日本人には神儒仏の宗教が今日迄世人を教へ来りたる結果、この言葉が諸子の耳に親しみ易き事を知るによって、仮にその言葉を用いたるにすぎず。仍て諒せよ。
　二月十八日(昭和二十五年)こだま会に於て円海が語りたる信仰とは、即ち領収書の如しと教へしにはあらざるか。この言葉には極めて深淵なる意味を有す。諸子はこの言葉を軽く聞きのがし居りては目標は那辺にあるかを知ること難からん。目標を定めてその定めたる目標を己が心に受理して、始めて領収書を送らざるべからず。されば目標とは何かに心せよ。