未知日記講話集 大霊界  未来観その五b  現在の汝は肉体の部室に宿をかり居れど、その宿を立ち去りたりとて汝は死したるにあらざるべし。唯居を変更たるに他ならず。所謂住ゐたる家を離れたるにすぎざるならん。即ち住居せし家が住むに堪えざるが故に、他に家を求めて転宅すると同様の関係と思はば、空実の理論は明らかとならん。然るに汝等諸子は家に相当する肉体に重点をおくが故に、住む人なきを憂るなり。人死したればとて何ぞ憂る足らん  教主寛大講義

未知日記講話集  大霊界  未来観 その五  教主寛大講義

 もとより我の語りたる、禅は善なりと云ふことはこじつけにして、正しき言葉にあらざる事は我よく是を知る。禅とは即ち静の意味を云ふならん。されど静かにおちつく云ふは、正しからざれば静とはならざるべし。傾けば動揺す。故に傾かざる底の直ならざるべからず。是等の道理より我は禅を善なりとこじつけたるなり。よって諒せよ。余事は兎に角虚は実を生み実を返へせば虚となる。然して又実に進み虚に返へる事を、屡々繰り返へしっっ、世は建設せられ行くならん。霊子は霊魂を作る源なり。故に霊魂に帰すれば虚より実の方向に向ふは当然なるべし。霊子に立ち返へりたればとて其れにて終りとなりたるにあらず。霊子はすべてを作る元素なるが故に、分秒も休止することなし。有形は無形に変じたりとて其は滅したるにあらざる事も理解する事を得るならん。変化を与ふるも皆霊子の威力なり。無始終なるが故に尽きることなし。霊魂は霊子によって育てられ、是は実の方向に向ふを主となし居れど実は然らず。故に変化するが故に、退く方向に向はしめられ居るにすぎざるなり。是を要約すれば空は前進し、実は退歩すると云ふ結果とも見らるるならん。然るに諸子は空を疎略にし、実にのみ重点をおくが故に種々様々思ひ惑ふなり。
 汝等衆人の世界は実なるが故に、先にも語りし三満一欠の世界と称へられ居るなり。是を空の世界に返へせば四満の世界となる。故に組織せらるるものは完全なるが故に欠くる所なし。霊魂とは即ち四満なり。故に欠くることあらずして、尽きるところを知らず、不滅より不滅と進み行くと承知せよ。霊魂を気光素とみなさば、肉体は光気素の関係となる理も、是によって推知することを得ん。
 汝等諸子は点火したる灯は実にして、消されたれば虚と思ふならん。されど点火したる灯は、気光素によって前進し、消されたれば光気素によってその威力を破壊せられたるにすぎず。故に点火も空なり。消火も空なり。唯進退に他ならず。唯光を現はすと現はさざるとの相違にして何れも空なり。汝は来りて汝は去る。来りたる場所の有様は現はるると現はれざるとの相違にて、汝は他に移され居るならん。現在の汝は肉体の部室に宿をかり居れど、その宿を立ち去りたりとて汝は死したるにあらざるべし。唯居を変更たるに他ならず。所謂住ゐたる家を離れたるにすぎざるならん。即ち住居せし家が住むに堪えざるが故に、他に家を求めて転宅すると同様の関係と思はば、空実の理論は明らかとならん。然るに汝等諸子は家に相当する肉体に重点をおくが故に、住む人なきを憂るなり。人死したればとて何ぞ憂る足らん。
 此理論より理論を理解することを得たらば修養修行の一大事を考へざるべからず。修養修行は、空の境涯に入りて、完全なる家に進まんことを願ふなり。完全なる家にはそれ相当の財宝なければ求むること難し。恰も汝等諸子の財産を貯へて、宏壮なる家を建設すると同様なる関係あるなり。実を求むるが故に、金品財宝の必要となる。されど空の家を求むるには金品財宝にては得難きことは諸子もよく知るならん。正しきものを貯へて不正なるものを捨つるにあらざれば、空の家は立派なるを求むることも難からん。この理をよくよく翫味せよ。

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