覚者慈音１５９０
未知日記　第九巻　因果論　　　　　　　
第四の巻
心霊篇　
第五十六　　　　　　神通力と人通力の関係　　　
　　　　　　　　インショウ、ミキョウ貴尊講述
　　　　　　　　　　　２０１９・１２・２０

　徒らに身心を労して訳もなき事に耳をかし、眼をむけて、其に迷はさるれば自然より遠ざかるは是又自然の理なるによって、かかる小さき事に労することを止めよ。然して大なる自然の懐中に抱かれて、神に通ずる道を修め居らば何日しかその徳は現はれて、はじめて神通力を修得する事を得るなり。慎むべき事は迷ひなり。一日も速に神の道を修めんとあせるが故に、かかる人通力者に眼をむけ、耳をかして迷ひを深くし、遂には何れにもつかざる危き処にさ迷ふ愚を敢てなす勿れと教ゆるものなり。
　神の自然に従ひ居らば己自らの力は己自らがはかり知ることを得ざれども、自然は汝を育て居るが故に刻一刻とその徳はつまれ居ることは、是即ち自然の法則なるが故に、高くなりつつあることと思ひ居らば其にて進みはなし居ると承知せよ。所謂習慣性となり居ることに思ひを致さば其にてよし、世人は階段を一段々々上らばその上りたる高さの程度は知ることを得るならん。さりながら階段なき自然の道を上り居てはその高さの程度はふり返って眼下を見る迄は自覚することあたはざらん。其と同様と考へなばうなずく処あらんと思ふなり。我も人通力はすべて修し終りたり。又人通力を了へて神通力を得て、ここに昇天なしたる者なれば、すべての魔法すべての事柄は知らざること一としてなし。さされど是等の人通力を世人に教ゆとも、世人悉くが決してなし得ざることを知るによってかかる事をなせよとすすむるものにあらず。されど神通力ならでは真の道は得がたし。神通力は教ゆれば受け得らるるものにて、是は万人悉くが修してならずと云ふことあらざる事も我は知るによって、世人に説かんと思ふなり。神通力と云へば世人は神妙不可思議なる魔法の如く考へなば其は大なる誤解なり。