覚者慈音1479   はじめて未知日記を読まれる方への手引き 其三    衛藤慈声

未知日記(みちびき)について    其三
                          衛藤慈声 著述
                               2019.10.05
 


 天与のそなはりとは


 教主は光明論を講ずることによって全宇宙の万物生起の因をなす、「自然存在の無始終霊子」のはたらきを説かれ、大自然、立体自然又は不変化自然の(肉眼にて見る自然は平面自然にして又変化自然として区別す)破壊と組織大原則「四線の法則」を説明して空のはたらきより実在に転化変化して行く法則を示めし、人の精神についてはその構成と機能と使用法について、事こまかに説明教示されて居るのである。然して此光明論を中心として充分に理解せしむる予備智識として他の十一の論文を自ら講じ又他の貴尊方に講ぜしめ光明論の理解を容易にさせられたのである。
 要するに大自然の法則、わかり易く云へば科学的法則に順ずる以外魂魄育成の法は他にないと云ふことになる。
人の救ひは己自身の努力により成長する以外にはない。智慧の増大法は己の正体を正しく認識することから始まるのである。故に此書は宗教書ではない。大自然の法則を科学する書である。


 未知日記の著者・伊東慈音について


 此大部の講義を地球人種に取りついでくれた伊東慈音とはそも如何なる人物か。彼は幼にして母の感化をうけ仏教の信仰をうえつけられたのである。年少にして禅に参じ見性するや、彼は此刹那の感動を日常生活の二十四時、保持したいと念願したと云ふ。
 不幸にして酒乱の災刃による一撃によって一眼を失なった彼は、又残る一眼にも不安を感じ、大学への進学を断念して、一代の職業として東洋音楽を択んだのであった。然しその師中木検校は単なる楽器の演奏家ではなかった。真に東洋音楽者としてその名に値する人であった。
 もともと東洋音楽は先天の易学理論「三対四律」の法則に因り組織された「大気音波観察法」で、本来は天変地異を観察測定するのが目的である。此処で云ふ大気とは今日気象学で使用される大気以前大気を作る原因の気を意味し、又先天の易学とは、今日日本中国にて易学と称せられて居るものの根幹をなすもので、一般社会には未だ公開された事のない理論である。原書は民間には一度も公開されていないものである。
 慈音即ち伊東四郎が中木検校と共に起居した年月はホンの四五年にすぎなかった。然るに彼は日夜の別なく心魂を傾けて勉励これ力めたのである。然して東洋音楽の秘儀をきはめ、それから得た訓練操作を利用して身魂分離の法、即ち游魂を自在に行ふ実力をも養成したのであった。是は彼の二十二三歳の頃と推定されるのである。然して彼が地上生活に於て、生身の人から教へを受けた最后であった。然し彼の勉強努力は是で終ったのではない。更に更に厳しい修行が、肉眼に映らない貴尊方の指導によって進められたのである。然してその途中、彼は迷ひ何度か捨てたいと考へたと云はれた。その度に貴尊方に或時ははげまされ、或時は叱られて行は仲々進まなかったと告白された。然し事実が証明して、事実を確認せざるを得ない日は遂に至ったのである。開けた魂耳魂眼は霊化することによって、彼は完全に動物性人間を脱し、人としての全きを完成した。天眼地眼の通力を得て心身共に自在の境地に住したのであった。彼は貴尊方の教へを聞き自らは行じつつ、その片手間に後輩者のために記録して残した。即ち此修行の記録こそ未知日記全巻である。然し彼は教主の命により、その実力の片影すら示めすことをしなかった。何故か、既成宗教を「有相」と、「未だ相(すがた)あり」と仰せられた教主は、慈音が大衆の尊崇を集めて一宗一派を形成するの余儀なきに追ひこまるることを憂へ且つこれを嫌はれたがためである。此書が宗教書でない、宗教を教へる書でない理由も此処にあるのである。慈音は無名の一市井人として昭和二十八年十二月十八日、肉体の衣を脱ぎすてて昇天したのであった。中年迄東洋音楽家として琴三味線を教へて生計をたてて居た彼には、有力な弟子も残しては居なかった。楽器を使用して特殊の音波を発起させ、火をよび水をよぶなどの名曲も、彼は伝授するに足る実力者を発見することが出來なかったのである。東洋音楽家としても彼は最后の一人であったと貴尊は未知日記に記せしめらたのである。然し誰か魂霊を育成してその実力を得るならば、慈音は何時にてもその招きに応じて秘伝を授くることはいとやすいことである。音楽に限らず、地球上の人々が、万人等しく大智を享受する日の来らんことを祈りて、「未知日記」紹介のペンを擱くことに。 
                   昭和四十四年一月
                                                                                                   衛藤 欣

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