覚者慈音１４４６
未知日記　第九巻　因果論　　　　　　　
第一の巻
人身篇一　
　　　　　　　　　インショウ、ミキョウ貴尊　講述　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０１９.９.２３
第二十一　　　　身心一体の信仰について

　其は兎に角利慾を旨とせざる真の信仰とは那辺にありやと云ふに是を一言詞すれば神仏を知らんとせば、先づ神仏の有無を論ずる事を止めて何かは知らず己の身心に来るべきものをそのまま受け入れて、其に和する信仰にあらざれば身心一体の信仰とはならざるなり。聊かむづかしき説明なれば解し難からん。是等は追々語るべければ自然に汝等の心に何時となく喰ひ入りてかかるものかと自得する事を得るならん。とにかく慾を捨てよ。世を救はんと計るも慾なり。己に依て世を益せんと計るも己をたかからしめんとの観念より生ずる優越感の潜在なし居る故に、そこに一つの隔ありて神仏に同化する事を得ざる証拠なりと知らば、ここに何か悟るべき処はあらざるか。前にも屡々貴尊方が語られし如く神の有無を知らずともあるものはあり、無きものはなしと仰せられし真意はここにありとは考へざるか。世を救はんとの慾望を捨てよと我等は教ゆるものにあらず。神の声を聴きて神の指図に従ひて行動すれば世は自づと救はるる道理を何故考へざるか。己自ら世を救はんとの考へはその中に己と云ふもののある事を考慮せよ。己にては世は救はれず。さりとて己なくんば世は救はれざるべし。行ずるものはかかる事を先づ放棄して一心に神仏に帰依し居らば神仏の力汝に加はりて世は救はるる結果となる。是因果の法則によってなり。
　肉体信仰は積むに従って慾望は増し為に汚れを多くす。精神信仰は如何に受理すとも慾望なければ磨かれて光を増し輝きを増すとの教訓あり。世人は此理を深く考慮して思ひを廻らすべし。肉体信仰は求むれば得られ精神信仰は求むるも容易に得がたし。此理も世人には解する事あたはざる人多からん。所謂動物性の欲求はすべて唯物主義なれば利慾を伴ふ故に、得たる財宝をもし失ふことあらば悲しみと怒りは増大す。是因果の法則なるが故なり。所謂財宝を得たる喜びあらば失ふ憂あるは当然なり。是因果の法則なるが故なり。
精神信仰は唯物主義にあらず。人間性本能をはなれたる慾求なれば入り来るものはすべて無限の宝にして、その宝は精神を養ふ肥料ともなり、又是を培養する養土ともなるによって育てられたるもの輝きと光を放つは、是又因果の法則なるによってなり。されど精神信仰のみにて肉体を忘却したる信仰は是又一方的にして肉体をおろそかに考ふるに至り、唯精神的にのみ走りて肉体の如何になり行くもいとはず、故にややもすれば肉に傷き其が精神の信仰にまで及びて却て信仰よりはなるる結果となる。是又因果の法則なるによってよくよく注意せざるべからず。