覚者慈音1401  未知日記 第九巻   因果論  人身篇一     インショウ、ミキョウ貴尊講述

覚者慈音1401
未知日記 第九巻 因果論       
第一の巻
人身篇一 
         インショウ、ミキョウ貴尊 講述                     2019.9.08



 第四 悪因を善果に導くことをなし得るか


 我かく説き来る時世人は思ふならん。悪因悪果と善因善果の道理は古来より今に至る迄すべて明らかとなり居れど悪因を善果せしむることは難しと考ふる人は多かるべし。もし世人の考ふる如き因果の確定なし居るものならば人間は悪因に生れたらば悪果に終る他なかるべし。かかる不自由なる差別によって神は人間を造りたりとは考へがたし。人間に架せられたる使命はかかる差別待遇を以てをかれたりとは考へ難し。神は人間のみならず、すべてのものを造るにあたって悪しきものを稔らせんとして種子を蒔かれたりとは信ずるあたはず。始めに蒔れたる種子はある一定の原因なりしを栽培する経路のあやまち其が善悪の結果に変化なしたるにて根底に立ちかへりて是を験すれば必ず同種のものにてありしことを知ることを得るなり。故に経路の如何によって善因も悪果に終ること是又察することを得るならん。われ下界にありし頃よく見聞したことに関して是を例にとり語ることとせん。
 我下界にありて行ぜし頃或一人の男来りて泣いて門下に入らんことを願ひしものあり。その者の語りし処によれば彼の家は幾代か続きて不幸断えやらずすべて終りを全うせし者はなかりし。是を或行者に原因をたづねしに行者曰く、「汝の祖先は悪逆非道の人にてあらん限りの悪行をつくして人を苦しめたるのみならず、多くの人を殺害しために其等の怨魂が幾代も祟りて為に不幸を招き居るなり。故に是を払はずば今より後幾代続くともはてしなく末路は悪果に終らん」と教へられたるにより出家なさんと思いて来りたりとの言葉なりし。その頃我等は未だ修行中なりしかば此者を誘ひて師に紹介(ひきあは)せて依頼なしたり。師は此者を一見して直ちに山を下りて里に帰れと教へて門に入るを許さず。彼嘆きて「我も亦其怨魂によりて末路は悪き結果をもたらす運命に置れあるか」と痛嘆なして自殺をなさんと計りたり。師、是を誡めて曰く、「汝死するに及ばず、汝の罪はたえてあとかたもなし。今の心をかたく守りて里に於て善行いとなまば必ず運命は開かれて汝の末路は安泰なるべし。汝は行ずるとも世を救ふ力ある分野にをかれたる人にあらねば行ずるも甲斐なき故に、下山して里に帰れよと云いたるなれば汝を見すてて門下に加へざるあらず。汝に架せられたる使命は唯里にありて行為を正しく清く守りて世を渡ることを己が分野としてはたらき居らば其にて使命ははたされたるなり。くはしく汝に語るとも汝には理解すること難し。唯定められたる分野に従いて悪き心を持たずよき行為をなさんとのみ考へて世を渡らば、其にて汝の末路は安らかならん」と柔らかに説きて彼を下山せしめたり。ここに於て我、師に対して其故を問い教へを求めたるに師是に答へて、我に語られたるを世人に知らしめて因果の理を明らかに示めさん。

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