覚者慈音1042 未知日記 第六巻 光明論  下巻 光明論 巻の八 大悟録 上 第四章 ジョの門  テツシン貴尊講義山中に住む孤独な男の話

覚者慈音1042
未知日記 第六巻 光明論       
下巻 光明論 巻の八 
教主講、テッシン貴尊解説
大悟篇  上
第四章 ジョウ の 門
織姫伝説


               テッシン貴尊 講述
               2019.6.11


 さる程に二人の間に一人の男子を儲けたれば、妻は法力にてこの国の言葉を覚えて童子に教へ育てしが、やがて童子にはすべてを教へ尽して、今は教ゆる道絶えたる頃再び天使下り来りて曰く、「乙女よ、汝の役目は果されたり。男子よ。汝も罪はつぐなはれたり。二人つれだちて天界に帰るべし。男子ももとは天界の者にて一度罪を犯して下界に移されしが、今に至って漸く帰参は叶ひたり。童子は暫く此処にてなさしむる事あり。彼はもとより罪人ならねばやがては昇天し来らん」とて、天使は二葉の衣を二人に渡して立ち去りたり。母は童子に向って、「此界は悪ははびこりて善人をなやます。汝、是より出でて悪人を善者に改めしめ此界を安からしめよ。幸に我神服を織し時、誤ちて落したる杼(さす)ここに在り。是を与ふべし。この絲にて悪人を縛らば如何に力量すぐれたるも切りほどくことを得ず。又他の者と雖も汝の他解く能はざるなり。然してその杼を悪人の頭上に軽く乗せなば忽ち悔ひ改むべし。幾度のするとも改めずばこの杼にて打つべし。彼は息絶ゆるなり。斯る事は神の道に合ふ事なれば汝の罪にあらずして神の命なれば、決して怖るることなくこの土を明るくして後父母の許に来れかし」と、言葉を残して別れ行きたり。
 童子山を下りて母の教への如くなし、此世界に一人の悪人をも残さざるに至りてのち、彼も父母の許に帰りしと云ふ神話を汝等聞しことあらざりしか。此神話は長編にて童子が悪人済度には教訓となるべき資料きはめて多けれど、此門に必要の点のみに止めて他は省略すべし。
 汝等の世界の法律は罪人を審判により罪を犯さしむるにより、一度罪を犯さば却て悪人となること多し。神の審判は悪を善に用ゆる慈悲の賞罰なる事に、この神話を引用したるならんも、彼の男子が山中にて一人孤独の生活に終らしむれば、この界は悪はびこりて国安からしめざるならんに、神は罪人の汚れにて界を清め給へり。恰も捨つべき布にて塵埃の汚れをぬぐひ取るに似たり。即ち毒を以て毒を制するに他ならず。すべて世の中には廃物と云ふものなきことを教へたるならん。

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