未知日記霊話集  第六百十六回  帰途案内記  転界の巻 八流界の人類  セイキョウ貴尊講義

覚者慈音1297
未知日記 第十巻 帰途案内記       
巻の三
上界の巻 
NO 151
更に八七六流界に到る迄
                 セイキョウ貴尊 講述
 

 ここに一つの話を掲げて先づ語らん。此界に或一人の智慧たくましきものありしが、此者いささかの智慧あるを誇りとして、何かすぐれたる智識を得んと志し、其を求むるには先づ七流界即ち意界を広く見聞して、其によって新らしき道を発見し、是を我ものとして心界に広めて、己が権威を振舞はんとの野心を起し、然して意界に赴くに先だち、意界へ入るには己の姿を現はして赴くならば、彼の界の人に発見されて彼の界の秘密を探ること難からんと思ひて、己が身をかくす法を研究し遂に此法を成就したるによつて、先づ己が界の人類にて試さんと計り、その法を行ひて己が界を悉く廻りたれど、誰一人として彼の姿を発見するものなかりしかば、是にてよしと密かに喜びつつその法を用いて、己が姿を隠し意界迄飛行して、さてその界に入るんとなしたるに不思議や、その界には霊気たちこもりて入るあたはず。何処にか入るべき処あらんと幾回となくその界を廻りたれど、霊気に打たれて入るあたはず、はては法力尽きてここに初めて己が姿を現はしたり。然るに不思議や霊気は忽ち失せて、易々と此界に入る事を得たり。然るに此界の人来りて曰く、汝は心界の人ならずや。何故に正法を用いて来らざる。逆法を用いて此界に入らんなどとは不心得の所業なりと咎められて、彼大いに恥ぢて己が過失を謝し、然して彼に向ひて曰く、我用いし法を何故逆法と云ふやと尋ねしに、意界の人答へて云ふやぅ、汝は隠形の法を用いて来りしならん。その隠形の法は魔法なるが故に逆法と云ふなり。同じ隠形の法を用ゆるとも、何故神法の正しきを用いざる ?  是を聞きて彼心に思ふやぅ。隠形の法は唯己が姿を現はさざる術なるに、是にすら神魔の相違ありとは、さてさて不思議の事かなと思ひて、更に向ひて神法の隠形とは如何なるを云ふかと尋ねしに、意界の人曰く、魔法の隠形は濁り、神法は清らかなり。されば魔法の眼(まなこ)は濁りて見えず。神法の眼(まなこ)は清らかなれば明らかなり。汝のこの処に来りしには、何か濁りたる陰謀を心に宿し居るが故に、此界に入らんとして入るあたはざりしならん。其は汝の眼が濁り居るが故に、閉されて此界を見るあたはず。故に入ることあたはざりしなり。もし汝の行ひが心に正しきを以て来りしならば、易々入る事を得るなり。悪き心を以て法を行へば逆法となり、正しき心をもて法を行へば其は神法となる。魔法とは即ち濁清の相違あるによつてなり。是を聞きて心界の人意界の人に向ひて云ふやぅ。汝は隠形の神法を知るならば、我に行ひて見せよと願ひしに、彼、快く見すべしとて忽ち姿をかくしたり。然るに心界の人、眼を八方十方に向けてたづね求むれど見えず。ここに至って心界の人己が非を悔ひて、疑ひを晴らしたれば、忽然として彼が姿現はれたり。然して意界の人曰く、汝疑ひ晴れたるが故に、我の行ひし隠形の法は見破られたるなり。即ち汝の心は清められて眼は明らかとなりたるが故に、我の法力は失はれたるなりと教へたり。

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