未知日記講話集　　　　　　　　教主寛大講義

　

　汝等衆人の智識は余りに鈍し。故に導くものも従ってその程度に対してあたらざるべからず。汝等衆人の智識増大すれば其に応じて導きをなす。幼稚園小学校中学大学と進むに従ひて、皆其々の程度に応じて教へをなし居るによって、時には不確定語を用い、時には確定語を以てあたり居るなり。
　円海が或家の死者の魂を持ち帰りて、これを他の者に移したりなど云ふが如きを聞かさるるとも、汝等衆人には到底理解すること難からん。現今、汝等諸子の世界の学理は未だ幼稚なるが故に、斯る事の確定しあるに不拘、信ずることすら難きも是みな智識の程度が余りに低きが故なり。是等の道理を道理として信ずる底の学徳を修むるにあらざれば、到底我等の説は正しいとは信じ難からん。是等にはみな道理より道理へと、順次是を推理して研究するならば、決して迷ひを起こすものにはあらず。汝等衆人は未だその理を究めざるが故に、理解すること難きのみ。我等に云はしむれば何等不審するには足らざるなり。
　円海が魂を引き戻せしは空より実を生みたるなり。故にこの後は実より実へと次第に実の方向に化せられ行くは、当然にして信ずるものは正し．信ぜざるものは智識未だにぶきが故なるを知るべし。汝等衆人研究に研究を重ね、工夫に工夫を重ねて努力せよ。然せば是等の道理は明らかならん。全宇宙の中に存在しあるすべての現実性のものは、限度あるによって是を測定することは得れど、空なる実は測定すること難からん。限度あるものはその範囲きはめてせまし。限度なきものに対して、推理力を延長するにあらざれば、智識は増大するものにあらず。空なるものの中には、実なるもの算へ難き程多くして、到底実在的の比にあらず。是等の道理は汝等衆人と雖も認識することを得るならん。実在的のものは確定なしたるが故に、現はれ居るとのみ考ふるが故に、智識の程度もそこに至って行き詰りとなる。故に行き詰りのなき空在的の実にあらざれば、智識の延長はなり難し。ここに於て正しき推理力の必要にせまらるると承知せよ。余事は兎に角予備道場に於てすべての学徳そなはれば、ここにはじめて無言詞界の門に入ることを許されるなり。