覚者慈音94 4   未知日記 第六巻 光明論    下巻 光明論 巻の五    五味は如何にせば整へ得らるか

覚者慈音944
未知日記 第六巻 光明論       
下巻 光明論 巻の六 
教主講、セイキョウ貴尊解説
悟道篇  上
多弁鳥の例話


               セイキョウ貴尊 講述
                2019.4.21
                   216番


 或国の森の中に人語を話す小鳥ありて一日中しゃべり続けて他の鳥の如く各所にとびまわり食を求めんとせず、木の実木の芽などを喰ひ、其所の樹木を枯らしては他の森へと順次移動して食の尽きざる限りは其所を離れず、終日饒舌り続ける始末に困るものなりき。のみならず此鳥は人語を巧に話す故に、通行人によびかけては真実虚言(まことそらごと)を教ゆるため迷惑する人少なからず。或時は家なき所に家ありなど教へて、旅人の宿に困らしむる等なすにより多くの人此鳥を絶滅せしめんと計れど彼等は早く看破して巧に鋭鋒を避けて人を嘲笑愚弄なすにぞ。人々は益々激昂して様々の方策を構じ居たるが、さしたる名案も浮ばざりき。此時一人の若者云ふよう、「鳥は夜に至らば物のあいろも見えざれば夜襲をなさん」と。此処に相談一決して夜襲を試みしが鳥の影見あたらず。翌朝例によってペチャペチャ話すを聞けば、「さてさて人間は愚なるものかな。我等は夜には木の枝などに宿りて何とて斯る不用意をなすべき。谷間の岩穴住みやすし。眠る岩穴人知らず」と歌ひ興じたるを聞きつけられて、其より杜と谷間に手配攻撃にあひ散々なる憂目を見たる鳥共は、彼の森此森へと転々居を変へしも何処の森にも人の手延び来るに、其後は余り饒舌らずなり。又集団生活もなさず此処彼処に分散生活をなして、其後は森の樹木も枯死する憂なく又此鳥は人語を話す面白き鳥なりと珍重せられて人の手にも育てらるるに至りて、今日も残り居れり。其代表的なるは九官鳥、鸚鵡紅雀、十二姉妹などと命名され、其他にも幾種かの子孫を残し居れりと云ふは、此道話のあらすじなり。汝等この道話について何を修養となすべきかを考へ見よ。
 慈音よ。今円海が来りて我傍に在り。汝に語りたき話ある由、我、暫時講話を休みて彼にゆづるべし。絶えて久しければ有益なる教へもあらん。謹みて聴聞せよ。

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