未知日記　第十巻　帰途案内記　　　　　　　
巻の三
上界の巻　
NO １６５
更に八七六流界に到る迄
八、九流界の科学について　
セイキョウ貴尊　講述
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　例へば数学に於て証明せらるる事も、実地に於て是を現はし難きと同様の関係にて、空と実との隔は相違あるなり。故に智慧は進み肉体は遅るる事の理も、是に依て察せらるるならん。心界迄進まざれば我等の語る事は、事実に於て証明することを得ず。故に我等は説明に苦むなり。されど世人を導かんが為に、一歩一歩先んじて是を示めしをくに過ぎず。依って此域に進むやぅ修養せられん事を望む。
　人類も次第次第に進化すれば、斯くの如く変化するは人類科学の法則に基いて考ふるも、察せらるる道理あるなり。是等は世人の智慧に委すべし。兎に角我等は事実を語りをくなり。心界の人類の事に対して、その生活等々くはしく語り居りては枚挙にいとまなし。よってその重要なる事のみ語りて、世人の修養の材料となさんと思ふが故に、世人に必要なる事のみ語らん。
　心界と雖も汝等の世界と大差なく、唯異なるところは地質の相違あるのみにて、従って動植物の関係もややその種類異なり居るにすぎざるなり。是等の詳細は省略すべし。若し此界の事を詳く知り度しと思ふ人はミキョウの円海にきくべし。
　次は七流界仮称意界の人類について心界と対照して相互を比較して語るべし。心界も意界も人類は同一にてさのみ変りたるところなけれど、心界も意界も一個にあらず。即ち前に語りたる九流界が上中下の区別あるが如く従って心、意界も同様なりと思ひて聞くべし。我、先に八七流界に於ても奇形児が現出なし居ると語りたり。かくの如く肉体の姿が異なり居れど、主要なる点は異なるにあらず。唯肉体の形状が変りたるにすぎざるなり。
　例へば果物に於ても果物と云ふに変りなけれど、すべての形状が異なり居ると同様と知らば察せらるるならん。斯る些細なる事柄に迄考へを廻らす事は世人には不必要なり。唯世人はその大切なる点をよくよく探り求めて、其によって智識を磨かれなば其にて可ならん。余分の事迄知らんとせば却て修養の妨げとなる故なり。眼目とするところは、即ち彼等の偉大なる人智を知るにありと我等は思ふなり。よしなき事に迄心を用ゆる事を止めよ。