高齢者ドライバーの皆さん気をつけて

 

 一か月程前に、どこぞの信号機で黄色から赤に変わった時に車を発進、なんと後続車がパトカ-だった。すぐさまサイレンを打ち鳴らし、拡声器で緊急停止を呼びかける「そこの車、すぐに停車しなさい」と。そこで違反切符を切り、罰金1万数千円。それから何日かして妻を乗せ、近くの堤防へ毎日恒例の朝の散歩に行った。その時も運悪く後続車はパトカ-。僕が河原の広場に車を止めると早速警察官がゆっくりと降りてきて、「あなた方は二人はともシートペルトをしていなかった」と宣う。そこでも有無を言わせず点数で罰金刑。なにかしら警察に眼を付けられているようだ。
それから二週間ほどして警察から認知症の疑いがあるから近くの自動車学校で認知症と技能試験を受けて来るようにとのはがきが舞い込む。試験はぎりぎりなんとかセ-フ。どうにか及第点を付けることが出来た。内心ほっとした。

 僕はここ何日間か掛けて我家の離れを大掃除。軽自の車に不燃ごみ、燃えるゴミとを仕分けして大野のごみ処理センタに一日四、五回ゴミを運び込む。当地のシルバー人材センターに電話して、大きな冷蔵庫やクーラなどを運び込んでくれるか電話したが、シルバーではそれらをとり扱いできない旨の返事あった。その代わりに該当の専門業者に委託するよう連絡があった。早速、その店を訪ねる。
すると一人留守番をしていた老婆が奥座敷からゆっくり出てきた。老婆曰く「あんたひよっとして同級生のユ-チャンやないか?」、「今日はところで何の用?」と聞く。
ここはあんたの店か? 実はこれこれの物を運びこんで欲しいんだ。そこで僕は店先に座りこみ、彼女と一時間余り談笑する。彼女は次から次へと同級生の近況を話する。あの元気で活発な××さんが認知症になり、一人施設に入っていることを知らされた。僕は50年余り前の成人式のことをふと思い出し、彼女に言った。「思えばあの成人式の日に、他の女性達はみんな着飾り全員振袖姿やったけど、あんただけは一人だけ学校の制服を着て参列した。あれは実に立派やったな」と、すると彼女は云う、
「うちは貧乏やったから着物を買うことも借りることも出来なかったんや。恥ずかしかったけどしぶしぶ高校の時の制服を着て式典に出たんや」と
彼女は続けて言う、「なあ、あの時の担任の、清水先生に会いに行かんか。先生、元気でいてはるで」そしてすぐさま奥へ駆け戻り一冊の小冊子を取ってきて、先生の法話している写真を見せてくれた。そこには95歳になられた先生のお姿があった。


僕は言った。「これがあの先生か。すっかり変わっている。まるで老いた親鸞さんやな」
僕は懐かしさがこみ上げ、そうやな、一緒に会いに行こうと言って彼女と別れた。先生は僧籍の身でありながら、高校では現代国語を担当しておられた。

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