未知日記講話   塩の持つ育母素の研究を急げ  テツシン貴尊講義

未知日記 第二巻  行法    
第二 昔を捨て昔にかへれ
塩の持つ育母素の研究について    
       
              テッシン貴尊講述



 地球上に於て動物植物を育成するに最も必要なるものは塩にして、すべて塩分の恵みを受けざるはなしと公言することを得、若し此塩の恵み絶えなば恐らく生存するもの無に至らん。塩には無機物に含まれたる、ものを育成する力の素あり。是を仮に育母素と命名しをかん。此育母素なるものを応用したる法力あり。今その一二を示さん。其は指圧療法、掌療法、虫封じ療法などの類なり。又塩にて灸を行ひ、塩にて温罨法(おんあんぽう)を施すなどは皆育母素の力に依る。指圧療法掌療法などに於ては、塩にて手指を清めなば一層の効果あるなり。虫封じについても手を塩にて清めて水面に文字をかき、小児の手を入るれば毛細管より黒き虫の如くに見ゆるものの出づ。是虫にあらず。脂肪成分と他の混合物なり。俗にメガサと称する鬱血より起る現象に似たるものなり。是等すべての療法は皆塩分の持つ育母素の働きなり。指圧療法掌療法の遠隔療法は効果ありと云ふは迷信にして、全く信ずる足らず。若し遠隔療法を受けて根治せしと云ふものあらば、其はその術者を信じて受くる暗示療法となりたるにて、指圧療法掌療法の効果にはあらずと知るべし。然して斯くの如き療法はきはめて微弱なる育母素の放射によるものなれば、術者は是に暗示を加へて効果を顕著増大せしめんと計るなり。故に科学によりて此育母素を作りて用ゆれば、効果は真に優れたる利目を得べし。講義は他に逸れたり。本論にかへるべし。
 神の地球に与ふる塩に於てすら、斯くの如き力を有するに、人は面影を追ひて神を追はざるが為に、塩の用法に於ても時間を空しくするなり。真の神を追はずして、面影を追ひし結果なればなり。故に昔をすてて昔にかへれと云ふなり。
反射作用を正しく矯正せざれば行法によりて得る力の効果を収納する事難し。反射力は不安と迷ひを生ぜしむるに依りてなり。神経過敏なる婦女子の眼前にて、「我、発疹して痒し」と、如何にもまことしやかに見すれば、其婦人は忽ち発疹すべし。是反射力の作用によるなり。
 総じて法と云ふは難く見ゆれど、原理を知らば敢て不思議なる事にあらず。然れども神の法は不思議なり。何となれば人智の及ばざる事多ければなり。今、汝は我の教へを聞く。然れども我全体は汝に来りしにあらず。我一部を汝に預けたるなり。例へば一冊の書籍を汝に貸し与えしと同じきなり。故に如何なる時に於ても、汝、筆を執らば講義は示めさるるなり。我等汝にのみ囚はれなば、神の命に応ずるあたはじ。天界と下界の自由とは、斯る所にも相違あり。故に人間如何に智慧ありとも天界は知ることを得じ。汝等が敬慕する大天文学者に、太陽系宇宙の星の数を問ふとも、明確の回答を与ゆる者あるまじ。まして全宇宙の様を測定する事を得んや。昔より今に至る迄空しき理論語り伝えられ、是を信じて今日に至り、却って迷いの種を蒔く。此種子は芽を出すとも実らじ。汝等早く覚醒て後を振り返れ。太陽は背後に燦然と輝く。面影を背にせよ。然して昔にかへらば新しき正月は、汝に新しき晴着を着せん。然して新しくふみ出すべし。
 斯くて蒼白なりし汝の顔面に、太陽の放射する様々の光線が、其威力を現はして、皮膚も肉体も健康なる姿とならん。肉体健康ならば心又さわやかとなる。人生の行法は即ち斯くの如き些細の処に、大なる真理あるものにてむづかしく考ゆる故に、却って労を感ずるなり。神の恵みを日々仰ぎながら尚他に特殊のものを求め迷ふがために、空しき月日を費すのみなり。
 汝は朝夕味はへる塩につきて考へし事ありや。現今の学者間に於て塩に対する有機物の研究は可なり進めらるれど、無機物の研究は前途遼遠なり。此処に学者に要求するは塩の持つ無機物の内に含まれたる「ものを養育する原素」のある事に着目して、研究を進めなば大に利益あらんと教ゆるなり。汝等には唯塩は気光素につきて必要なる点についてのみ語らんとす。

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