未知日記　第六巻　光明論　　　　　　　
下巻　光明論　巻の十　
完結篇
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　教主寛大 講義
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　魂魄は無機物の集合によって組織せられあることは今更論ずる要なけれど、有機物に囚はれ居る汝等にはややもすれば常に忘れがちとなり居りて修行修養の道を等閑になし居るなり。汝等は無機物に重点ををかず、有機物を重視し居れども我等に云はしむれば、有機物は無機物の神髄をぬきとりたる廃物に等しきなり。即ち人間の無機物なる魂(たましい)をぬき去れば、醜き有機物の屍の滓を残すと同様なり。我、汝等に生きたる屍と教へしもこの理なり。又セイキョウが米をつくるに藁をつくる勿れと教へしもこの理なり。汝等は肉体に囚はれて精神修養の怠慢なるは肉体の藁に重きををく故ならずや。即ち米なる主要物に重点ををくべきにあらずや。無機物の各種が集合して宇宙或は全宇宙は益々進化す。この進化とは如何なる進化を云ふかはここに語るも詮なし。何となれば時間空間をはなれざる汝等には進歩と云へば進むを連想するによって理解し難ければなり。そは別として無機物の作用には汝等が予測し難き微妙なる力を有す。我等が汝等に教へ居るも無機物を応用なしての方法によるなり。又汝等が考察工夫して湧き出づる智慧も無機物の集合によるは云ふ迄もなし。大凡人間の賢愚の相違あるも無機物配合の如何による。是を科学的方法より研究せば痴呆症或は白痴又は或種の精神病も根治すべし。
　昔より云ひ伝へられたる愚者につける薬なしとの言葉は消滅する時期も近きにあらん。事実方法はあるなり。汝等も研究し見よ。是をなし遂げんと計るならば顕微鏡より更に顕微鏡へと進まざるべからず。何となれば無機物こそは宇宙を構成する重要なる要素なればなり。