未知日記霊話集千六百七十回  帰途案内記 NO90 泥まみれになりて働く農夫も、国権を握る大臣も、生活に於て毫も差別あらざるなり。所謂大臣は大臣の任務をおろそかにせず、農夫は農夫の任務に甘んじ、是にて天下を全うし居るなれば、任務と云ふ点に於て、大臣も農夫も異なることなし。故に生活上に於ても大臣美食を食(は)めば、農夫も美食を食み、大臣美服を纏へば、農夫も美服を纏ひ、住宅に於ても農夫と大臣の区別はあらざるなり セイキョウ貴尊講義

未知日記 第十巻 帰途案内記       
巻の二
転界の巻 
NO 90
セイキョウ貴尊 講述

                    
 世人の世界は大臣と農夫の生活に於て相違あり。大臣は美服をまとひ従者を従へ大道を巡視なし傲然として権威をふるい、農夫は粗服を纏ひて泥まみれとなりて働く。斯る生活を営むによって国は乱るるなり。九流界には斯る差別はあらず。泥まみれになりて働く農夫も、国権を握る大臣も、生活に於て毫も差別あらざるなり。所謂大臣は大臣の任務をおろそかにせず、農夫は農夫の任務に甘んじ、是にて天下を全うし居るなれば、任務と云ふ点に於て、大臣も農夫も異なることなし。故に生活上に於ても大臣美食を食(は)めば、農夫も美食を食み、大臣美服を纏へば、農夫も美服を纏ひ、住宅に於ても農夫と大臣の区別はあらざるなり。故に国家は安らかにして怨み妬み等の生ずる道理なく、益々繁栄なしつつあるなり。
 世人の世界は任務の程度に従ひて差別すること多し。故にこの職は下劣なりとか、この任務は立派なりとか称して、好き嫌ひを生ずるも皆その任務に対して差別をなし居るによって、斯くも乱れがちとなりて任務をおろそかになし居れど、九流界にはかかるもの一人としてあらざるなり。命ぜらるればその任務を己が天分として是に順ずるが故に、甲乙の区別なく、道を励みてなほざりにせず、故に技術は益々向上発達して世を益すること多し。生活上に於て界民悉くが一定なるが故に争はず、故に罪を犯すものなし。世人の世界の如く獄舎のそなへ等の必要なければ、斯るものもなく古来は唯審判所と云ふ所ありたれど其すら絶ゆるに至りたり。是等の事柄に対してくはしく語るべけれど、今は転界論と云ふ事に論旨を進むることとして詳細は後にゆづり、唯斯る界へ転界することを得ると云ふことのみ語りをくに止むべし。世人の智慧進むに従ひてこの界はおろか、八流界七流界或は五流界へと転ずることを得ると承知して、益々智慧の増大をはかるべし。即ちクラアズとなれば雲を呼びて己が欲する処に赴くことを得ればなり。たとえ智慧すぐるるともクゥワオとなりて、動物にて終ることをなさざる用心肝要なるべし。智慧すぐるるとも分別に欠くる処あらば、動物性と化せらるるは当然なり。もとより分別と云ふことも智慧の部類に属すること云ふ迄もなし。唯智慧をはたらかすにあたって、その智慧の用法あやまらば動物性に転落す。世人の譬喩の言葉に「鋼が裏にまわる」と云ふ語あり。所謂智慧を悪しき方に向くるとの意味ならん。智慧を正しき方に向はせざれば望は達し難し。よって鋼を裏にまわすことなかれ。不具者に生るるともクラアズの如く正しき方向に用いなば、軈ては天上界に上ることを得るなり。

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