未知日記霊話集千八百一回  帰途案内記 NO217 蟻は人間を知らざるべし。蟻に等しき汝等は焉んぞ神を知ることを得んや。よって神になる迄否せめては神を知る迄修養修行をなして、然して後欣情の語りし如く、何になる事ぞの言葉を口にするに至らずば、全宇宙の構成組織の大意は認識すること難からん セイキョウ貴尊講義

未知日記第十巻 帰途案内記       
巻の四
最終の巻 
二流界、仮称霊空界
セイキョウ貴尊 講述
                     


 余事は兎に角ジョウの門に組織せられたるものと雖も、未だ人間の任務をはたさずばギョウの門に入ることを許されざるなり。二流界の人類はジョウの門なるが故に、人間としての責務を架せられあるが故に、その任務はすべて人間界の方向にのみ向けられ居ることは云ふ迄もなし。故に其任務の範囲は人間界のみなるが故にきはめてせまし。斯く語り来りたる時、欣情は曰く、宇宙など斯る厄介なるものを作り出すとは何のためかと慈音に語りたり。
 所謂斯るものを作りて何になる事ぞとの意味ならん。然り、然あるなり。慈音も笑ひたり。されど是には深き理由あり。始めなく終りなき全宇宙なるが故に、暫くも静止することあらざるなり。全宇宙の原理はここに存す。一個のバクテリアと雖もみな動じ居りて、暫時も休むいとまなし。故に全宇宙は動より動と終始きはまりなく働きをなし居るが故に、あるものは生じ、或ものは分解し或ものは組織せられて、はてしなく廻転なし居るによって滅すと云ふもの一としてあらざるなり。唯形を変へるにすぎず。よって斯る複雑なる宇宙は構成せられたるなり。世人は己の肉体を過大に評価なし居れど、一個のバクテリアにもすぎざるなり。その事柄より我等は人間なりとして如何にも尊きものと思ひ居らば大なる錯誤なり。一疋の黴菌にも等しき汝等にてはあらざるか。神の眼より見る時は斯くも感ぜられると我等は思ふなり。
 然らば広大無辺なる何ものかが全宇宙の中に在りとは思はざるか。先にも語りし如く蟻は人間を知らざるべし。蟻に等しき汝等は焉んぞ神を知ることを得んや。よって神になる迄否せめては神を知る迄修養修行をなして、然して後欣情の語りし如く、何になる事ぞの言葉を口にするに至らずば、全宇宙の構成組織の大意は認識すること難からん。よって是を知らんとならば先づかかる言葉を否、考へをすてて、先づ修養の一途を辿るに不如と我等は教えをくべし。
 若し汝等の子が汝に対して大人となりて何をなすかと訊かれなば、其にすら明確なる答へを与ふるものはあらざるべし。即ち大人となりたらば自づと解することを得んとのみ語りきかす他なからん。所謂汝等の考へは其の如し。先づなりて見よ。然らずば知ること難しとのみ、我等も語りをくに止めん。我等と雖も今はその責に従ひ居るのみにて、何になる事ぞと云ふ点に対しては同一なり。されど世人の何になる事ぞとの言葉と、我の思ひとは格段の相違あるのみ。

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