未知日記霊話集千四百二十九回 大霊界 空の研究と実の研究 その2 汝等の国日本は戦争の悲惨時なりしを悔いて武器を捨てたり。然るに今や又も武器の要ありとして国土防衛のためなりとか称して、再び思ひを変ゆるの止むなきに至りたる如きは、我等に云はしむれば実に愚なることかなと慨嘆するの他なし。恰も昔の武士(もののふ)が世を捨てて出家し、その出家が再び還俗して、又も戈(ほこ)をとる武士に立ち返るに等しからずや。然してその最後は己、自刃して命を終ると同様の結果となるは、昔の例に徴しても明らかならん 教主寛大講義



未知日記講義第一二巻  大霊界    巻の三                          NO114
空と実の研究        その2
教主寛大 講述



 見よ、汝等衆人の世界は光気素のはたらき強きが故に、斯くも名伏すべからざる混乱を誘発なしつつあるなり。建設せんとして却って破壊より破壊へと、益々破壊の方向に陥りつつあることは日々の報道によって見るも明らかならん。是建設せんがための破壊が、却って破壊せんが為の破壊となる故に、世は安からざるなり。是を気光素のはたらきに変ゆれば、斯るあやまちたる行為をなさずとも、建設の道は開らかるる道理あるなり。されど是を知らざるが故に、干戈を交へて何れか倒るるにあらざれば、平和の道は開らかれずとのみ考ふるによって、気光素の方向に向はずして、光気素の働きと逆転しつつあることを速く覚りて、汝等衆人気光素の方法を考へなば、前途の光明は得らるるなり。諸子はこの理を解することを得るや。
 汝等の国日本は戦争の悲惨時なりしを悔いて武器を捨てたり。然るに今や又も武器の要ありとして国土防衛のためなりとか称して、再び思ひを変ゆるの止むなきに至りたる如きは、我等に云はしむれば実に愚なることかなと慨嘆するの他なし。恰も昔の武士(もののふ)が世を捨てて出家し、その出家が再び還俗して、又も戈(ほこ)をとる武士に立ち返るに等しからずや。然してその最後は己、自刃して命を終ると同様の結果となるは、昔の例に徴しても明らかならん。今この講を認むる時慈音は我に向ひて、斯ることを認めて其にてよきかと質問なしたり。我は悪きことを教へず。正しき故に教へたるなりと、叱咤して是を斥けたり。我の教えへは正し。決して誤ちを語りたるにあらずと確言して憚らざるなり。我等は前途の結果を知るによってかくは大言壮語するなり。決して恐るることなかれと慈音に教へたり。いささか枝葉にわたりたり。もとに復すべし。
 汝等諸子に対して空のことを語るに、実を以てせずば認識せしむることは難し。されど空は空にして実ならず。是を語るに実を以てせんとするは、不可能のことなりと思ふは、諸子の思ひなるべし。未知日記前巻に於て、魂が空に化せられて選魂所に移され、其が又浄化せられて洗魂所に移さるるなど語るとも、諸子は実にのみ囚はれ居るによって、空論なりとして耳を籍さざるならん。
 我等は空の実を、実として語り居るに対して、空論なりと考ふる諸子の心こそ、即ち我等に云はしむれば虚の考へなり。即ち虚の考へと空の考へとは、ここに相違あるなり。我等は空しきことを教ゆるにあらず。空の実を実として伝へ居るにすぎず。迷ふと云ふは虚なるが故に迷ふなり。空の実を知り得れば、迷ふものにあらず。故に空と虚との思ひをよくよく認識して、あやまたざるよう我等の説を聞くべし。汝等衆人の空と思ふは、虚を聯想するがゆえに、空を知らざるなり。我等に云はしむれば、空は未知にあらず、空は既知なり。汝等は空を未知として考ふるが故に、空の真髄に触るることあたはず、故に虚は未知にして既知にあらず。されば確定信仰を得んとせば、空ならざるべからず。虚を聯想するが故に、不確定信仰となるなり。空心となるとも虚心となるなかれ。汝等諸子は空と虚とを混同して、物事を考ふるが故に迷ふなり。よく云ふ虚心坦懐と云ふ言葉は我等に云はしむれば、迷ひの念を生ぜしむる結果となる。故に空心坦懐と云ふ新しき熟語を以て、導かんと思ふなり。依って諒せよ。
 もとより空と云ひ虚と云ふも帰する処は、同一にして二にあらねど、是を明らかに認識せしめんがために、空と虚の二種の符号を用いて説明せんとはかり居る迄なれば、その心して聞くべし。所謂虚とは静にして、空とは動を意味すと思はば可ならん。されば空の中には虚あり、即ち動の中には静を有すと、同様の考へにて聞かれんことを。例へば空の中に於て空気のなき処あるが如く、空の中にも虚を有し居るは、此理なりと知らば可ならん。この理より推考せば実も空なり。すべては空に帰す。仏教にては一切空と称へ居るも、この理あるによってならん。空は実の母なればなり。空虚を動静として考ふる時、是又同一の関係となるは異論の余地なからん。空は動なるが故にはたらきの力つよし。静動交々廻転してすべてに通ず。故に実は生まれたるなり。実を静にかへしなば、即ち虚となりて空の根源かへる理も推して知らるるならん。是あるが故に空の研究は大切となるなり。

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