覚者慈音718  未知日記 第四巻  心霊雑話  伊東慈音

覚者慈音718
未知日記 第四巻      
霊の巻     
      生死と霊の関係  
      その4  人魂について
     
                   ミキヨウ貴尊講述


 魂魄は天寿を全う得たる人より離るる時は、苦まざるが故に、その光濁りくもりなく赫々として去り行くなり。くもりある人魂は未だ命数の尽きざるなり。人魂にうすく赤味を帯びたるは遊魂なれどもやがては死する現象なり。又うすき黒色を現はしたるは天寿を全うしたるにあらずと知りて可なり。魂魄の飛散につきての理由は次ぎに示めすべきなり。魂魄俗に人魂は汝等が持ち居る曲玉の如き形にて、大なる方は魂にして、小さき方は魄なりと云はれ居れり。されど我語る魂魄を云ふにあらず。即ち魂火(こんび)なるものは形ありて、そのものは僅少の時間に消滅すればなり。汝等が眼に映りし魂火なるものこそ、即ち霊より魂魄に送り居る気光素にして、霊に化へせば忽ち消滅す。十二光十二気の集合物と知るべし。肉体あるにより是等のものによりて肉体を働かしむる必要上具はり居れども、肉体離れては斯るものの必要なければなり。心魂につきて面白き話あり。
 さる所に魔術に長けたる老翁のありしが、此老翁多くの人の魂火を集めて、是に種々なる事をなさしめて無情の娯みとなし居たり。或時仲陸まじき夫妻の魂火をぬきとり、夫には鼠の魂火を、妻には猫の魂火を入れ換えたり。然して其後の状態こそ面白かるべしと、様子如何にと見てありしが、以外にも妻は夫を益々愛して片時も傍を離れず、夫も亦妻を離れざりしに魔術師は不審を抱きて、魔神に斯くと告げしが、魔神曰く、良人の鼠を犬に変へよと教へたれば、彼、斯くせしに忽ち不仲となりて別れたりと云ふ。実に面白き道話ならずや。汝等は此話を無為に聞きのがす事なかれ。すべて世の中の事柄はみな是に類する事の多ければなり。
 総じて世の中の人は、他人の栄えを妬み他人の憂ひを喜ぶ傾向あり。例へば火災に対しても我家に危険なければ、鎮火の早からん事を口にしながらも、内心拡大を好むを見るも明白なり。夫婦仲陸まじきを妬み何とかして争はしめんと計りてならざれば、又方策を変へて成功する迄は止めざるは人心なり。汝等かの魔術師にならざるよう心掛くべきなり。又魔神の如く悪智慧をかして教唆して人の苦を喜ばざる修行すべし。
 三気一如の修行を如何になさばなるかとて、その方法に苦むは当然なり。我、汝等に此法を教へんが為に種々様々の比喩を語り、且つ斯くせざれば斯る結果となる等々長きに渉りて説き来れり。汝等今迄の論旨を見のがし聞きのがすなかれ。我、今迄同じようなる分かり切った論旨をくだくだしく述べたるも、汝等が余りに肉体に囚はれあるを憂ひてなり。されば肉体は米のみのる木の苗なれば、大切にして是なくしては米を得られざるなり。昔の武士が口にする死すべき時に死せざれば、死にまさる恥ありと云ふ言葉あるにはあらずや。もとより死しては詮なし。生くべき時に生きざれば、死にまさる憂ひあるべしと心得て、召さるる時に召さるる修行をなさざるべからず。

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