覚者慈音445  テツシン講録再読篇 下 霊波伝道と感応伝道について  インショウ、ミキョウ貴尊講義

テッシン講録再続篇 下      未知日記第七巻



霊波伝道と感応伝道について          其一
                     その45
       
                     第四の巻
                      
             インショウ、ミキョウ貴尊講述


 我、先に流水暗示について語りしが是に対して慈音より「貴尊方の論説と我の語る処と相違ある如く思はるるが如何に」との質問ありたれば、世人も同様の考へを有するならんと思ふにより少しく語りて疑問を晴らすべし。元来暗示を受けて種々様々の現象を呈するは、即ち気光素の働きにして人にして此働きなかりせば生存することを得ず。その働きには強弱ありて白痴などにはうすく、神経過敏者などには濃厚なれど全々無しと云ふ者はあらざるなり。畜類にも此働きを有することと知るべし。故にこそ大衆の集る力は其気光素が一体化して、偉大なる働きとなるとの説は貴尊の教への如し。
 例へばここに一つの社を造りて、此神を信ずれば病苦は治癒す。わけても何々の病気にはよく利くなど専門医の如く云ひふらして同病者を集むるは流水暗示にして、其暗示より気光素は作らるなり。其が次第に紘がりて彼の神は何々の病気の神なりと大衆の気光素は働くに至る。恰も一服の煙草の吸殻より大火となるに等く、凡ての宗教の初まりは流水暗示より初まりて気光素の働きの強大となりて発達す。又其と反対に気光素衰退せば次第に衰退し、果は暗示も消滅し終るなり。所謂暗示は気光素によって働くと知らば可なり。されば暗示には一本のマッチにて薪に火を点ずるに等し。其によって貴尊の教へと、我の語りし意味との区別は諒解したるならん。又感応論に於て示されし催眠術の法も察せられしと思ふなり。
 次ぎに霊波伝導について語るべし。此法には引力法と圧力法との二種あり。圧力法とは霊波を相手に注入する方法なり。例へば母親が赤子に対して言葉ををくりて自然に、其意味を理解せしむる方法は圧力法に合ふなり。是には感応伝導法も加はりあるなり。引力法伝導とは相手の霊と結合して彼の心を同化せしめて心底より自覚せしむる法なり。所謂禅門の説く教外別伝と云ふも此理に属するなり。感応伝導法はいささか修行したる智者ならば、行ふことも難きにあらねど、霊波伝導法は十二期拝の修行を終へたる聖者にあらざれば行ひ難しと知るべし。霊波は距離なければ普通世人が称へ居る遠隔療法も座右にあると同様に行ひ得るなり。例へば遠方の人が療法を依頼せんとせば一枚の自筆の手紙を送れば、其にて相互の霊波は結合して働く故に療法は完全に果されるべし。元来感応法は精神信仰を積みたる人ならば行ひ得れど、霊波は霊的修行通達したるにあらざれば行ふことは難し。世人は奮起して霊的拝を修得して天界の徳に浴さんことを祈りて、我はこの講を閉ぢんとす。
 此時にあたりテッシン貴尊、我にむかひて仰せらるるよう、此講演は我の続編なれば、我に責あり。よって巻末の結論は我によってなさんと仰せられたれば貴尊と交替すべし。我、去るにあたり此書の拙劣なるを謹んで謝す。(昭和二十二年四月十八日)
                    インショウ、ミキョウ。

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