観音さまの話   ひろさちやの観音講 その一

 先日隣町の大野図書館でひろさちや先生の漫画全集の中から観音さまという本を借りて読みました。マンガの中で先生自身が講師となって対話形式で説明されておられます。とても分かり易い本で感銘を受けましたのでその内容を転写します。



「観音様は男か女かどちらかだと思われますか?」
「顔や姿を見ると女性だと思います。」
「観音様の絵はひげが生えているから男だと思います。」すると先生は観音様男か女かという問いに対してどっちでもいいというのがある意味での正解です。私自身の答えは観音様は男性でも女性でもなくて仏性だと言いたいのです。
私達は普段親しみをこめて観音様と呼んでいますが、実は観音様には二つの名前があるのです。
一つは観世音菩薩、これは人々の音声を観る菩薩という意味です。これを略して観音菩薩、観音さまと呼んでいます。
私達が苦しみの声を発するとその声を観じてすぐ救いにきてくださるのが観音様です。
もう一つの名前は観自在菩薩です。これは自由自在にものごとを観られるという意味です」


「欲望に目がくらんだ時や大きな恐怖におそわれたとき、わたし達は事物をあるがままに見られない。しかし、観音様は常に平静に自由自在にものごとを観ておられる。
観音様にはもう一つの別名があります。それは施無畏者(せむいしゃ)です。畏とはおそれです。すなわちおそれなきことを施す者という意味です。この世は恐怖でいっぱいです。観音様は私たちをその恐怖から救いだしてくださるのです。その観音様は極楽浄土で阿弥陀様もとにおいでになるのです。
極楽浄土では阿弥陀様が現在も活躍して教えをお説きになっています。それで観音様は極楽からこの世に降りてきて私たちを救ってくださるのです。その時仏性のままではちょっと異質で気味悪く思われるだろうと、私たちに合わせて男になったり女になったりして現れてくださるのです。
観音経の中には観音様は三十三の姿に変わりこの世に救いの手をのべてくださると書かれております。
観音様は私たち一人一人の身の回りや事情に合わせてその姿を変えて私たちを救いとってくださるのです。
そのように観音様は私たちのためを思って極楽浄土から変身してやってくるのですが、
ところが変身したとたん観音様はその人になりきってしまいます。従って観音様には自分が観音だということをわかっていないと思うのです。
つまり観音様はお姿もちろん、頭の中も意識構造もすべてこの世の人間に合わせて変身して来るのですから、自分は観音だという意識もないと思うのです。そんなふうにして観音様がこの世にきておられるということは・・・

どうでしょうか、ひよっとしてあなたの横に座っている人が観音様かもしれないのです。今後にいる人、目の前にいる人も観音様かもしれませんよ。いや、ひょっとしてあなた自身が観音様しれない」

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