覚者慈音539  三世と四世論   未来の巻  セイキョウ貴尊講義

                三世と四世論
           未知日記第八巻
           第三の巻
           未来の巻        其の91
  第七       変化の妙味       その2
                       NO1                         
             リョウジャ.セイキョウ貴尊講述


 ある処に一家の貴族あり。此者に一人の男児あり。長ずるに及んで学を好み神を信ずる力すぐれたれば周囲の人に敬はれ居たりし。或時かの若者素性卑しき異族種の娘に恋したりかば、今更の如く周囲の人尊敬をすてて是をうとんずるに至りたり。されど両者の恋は益々深くなり行きて若者は妻をめとらんとなしたれど許されず、余儀なく彼等は死して未来永劫添い遂げんとて遂に死したり。軈て二つの魂は天界の一路を霊によって運ばれたり。然るに天界に於ては神の僕によって是を再び下界に送り返へし別々の地に再生せしめたり。
 さて再生したる両人は前世の男子は女子となり、女子は男子となりて成長す。然して彼等は何時となく又も接近なして再び恋を語るに至りたり。然るに又も添い遂ぐるに至らず自殺なして天界に到り追はれて下界に来ることしばしばなりし。斯る事の何時かははつべき事のなく繰り返へされつつありしが、遂には人界を離れて獣類界に堕ちたり。軈て獣類界にて恋は成立したれど、その魂は後に如何に化せられしかを汝等は知るや。此例話をよくよく翫味し見るべし。我等が語るところは今後にあるなり。獣類界をはなれたる彼等の魂は如何になりしか。
 はじめ貴族に生れたる若者は卑しき生れの娘の魂を救わんが為に却って己の信仰に傷きて獣類界に転落したりと考うるか。又卑しき娘の魂魄は悪魔なるが故に貴族の信仰を妨げて彼を魔界に陥れたりと考うるか。然して彼等は永久浮住界の苦しみを味う結果となりしと考うるか。又両者は天界を恋して魔界に堕ちたるは進むにあらずして退きたりと考うるかについて汝等の智慧をはたらかせてその極致は如何になり行くかを答へ見よ。是は汝等が修業の資料としてしばし我等は回答を避くべし。
 余事にわたると言いしは是なり。変翩きはまりなき宇宙の真理はここに存す。故にこれを明確に断定する力あらば汝等は既に真の神を知り、又居ながら天界を観望する力を得たる真の人間となるなり。故に変化の妙味はここにありと知るべし。
 総じて人間は安全を求めんがために神を願いもし且つ神ありと信ずるならん。されど身の安全を得んと計れど、魂の安全を得んとなす人はすくなし。ここに神を信ずる力に於て非常の相違あることに心づくならば、汝等の信仰は身のために神を求むるにて魂のために神を求むるにあらざる結果、信仰の度は非常に相違ある事に思い及ぶ時そこに何等か一種のへだたりを感ずるに至るならん。汝等の信仰は身の為にあらず心の修養なりと口にし居れど身即心、心即身の結果に他ならず。故に魂の信仰ならねば真の神を知るに由なし。否真の神を知ることを得ざるなり。
 我等よく聞くところなるが汝等が語るところによれば「天地を造りしは神なり。神は天地万物を造りたるならば人間は神を求め神を知らずとも神は其を天界に導かんとせば天界に、地獄に堕さんとせば地獄に到らしむるにて我等があづかり知るところにあらず。されば神ありと思うもなしと思うも我等の力にて如何ともなし難ければ、神のなすがままに放任して唯棲息させらるるにまかせ我身が望むがまま欲するがままに行動すともそは神より自づと授けられたる使命なり。故に我等が勝手気ままの行動と思へどそは神の命なるべし。敢て神をとやかく思い煩いて又神など求めんとなさずとも可なるべし」など称し居るを我等は聞く。此説を聞きて汝等は如何に考うるや。実に尤もと思いて従来の信仰を捨て神よりはなれんとなすか。又従来の信仰は魂の信仰にあらずして身心の信仰なりしことに思い及びて新しく従来の信仰を捨て魂の信仰に入らんと努力するか。

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